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映画が好きで、いつか自分の書いた物語をスクリーンで見てみたい。そう思っても、映画脚本家になるにはどこから手をつければいいのか迷いますよね。
結論から言うと、入口は1つではありません。脚本だけを書く道、監督もする道、自主映画から始める道の3つがあり、どれも出発点は「書き上げた脚本」です。
この記事では、3つのルートの違いと、映画脚本コンクールなどの入口を順番にお話しします。
映画の脚本家になるには、まず何が必要?
映画の脚本家になるための必須の資格はありません。必要なのは、最後まで書き上げた脚本と、それを読んでもらう場です。
『映画の脚本家って、映画会社に就職すればなれるの?』と思う方もいるかもしれません。実は、映画の脚本家は会社員として雇われるより、作品ごとに依頼を受けて書く働き方が多い仕事なんです。
だから「入社試験を受ける」という形の入口はほとんどありません。代わりに、書いた脚本で実力を見せていくことになります。
| 必要なもの | なぜ必要か | 今日からできること |
|---|---|---|
| 書き上げた脚本 | 実力を示す一番の材料になる | 短編を1本、最後まで書く |
| 脚本の基本書式 | 読む人がすぐ内容をつかめる | 柱・ト書き・セリフの形を覚える |
| 読んでもらう場 | 自分では気づけない癖が分かる | 仲間や講座で感想をもらう |
| 応募できる公募 | 実績の入口になる | コンクールの募集要項を読む |
脚本の書式を先に覚えておく
日本の脚本は、「柱」「ト書き」「セリフ」の3つで書くのが一般的です。柱には場面の場所と時間を、ト書きには人物の動きや状況を書きます。
○ 河川敷のグラウンド(朝)
ボールを抱えた少年が、誰もいないベンチに座っている。
少年「今日も、来ないか」
原稿は、200字詰め(20字×20行)を1枚と数える「ペラ」で量ることが多いです。書式を覚えておくと、読む人が内容をすぐつかめるようになります。
詳しいルールは脚本の書き方の基本で紹介しています。
映画脚本家の仕事そのものについては、映画の脚本家の仕事で詳しく紹介しています。
3つのルートを比べてみよう
映画の脚本家への道は「脚本だけ書く」「監督もする」「自主映画から」の3つに分けて考えると、自分に合う進み方が見えやすくなります。
どのルートが正しいということはありません。自分が何を一番やりたいかで選んでみてください。
| ルート | 進み方の例 | 向いている人 | 気をつけたいこと |
|---|---|---|---|
| 脚本だけ書く | 講座で学び、コンクールに応募し、依頼を受ける | 物語を作ることに集中したい人 | 書いても映像になるまで時間がかかる |
| 監督もする | 映像を学び、自分で書いた脚本を自分で撮る | 画づくりまで自分で決めたい人 | 撮影や編集の知識も必要になる |
| 自主映画から | 仲間と短編を撮り、映画祭などに出す | とにかく早く形にしたい人 | 撮影の段取りや仲間集めの手間がある |

脚本だけを書くルート
物語づくりに集中したい人に向いた道です。シナリオ講座などで基本を学び、コンクールに応募しながら書く力を上げていきます。
受賞や講座での出会いをきっかけに、プロデューサーから声がかかることもあります。
監督もするルート
『脚本だけじゃなく、自分で撮りたい』という方もいますよね。映画では、監督が自分で脚本を書くことも珍しくありません。
このルートでは、脚本に加えて撮影や編集の知識も必要になります。脚本家と監督の分担は脚本家と映画監督の違いで詳しく比べています。
監督もするルートでは、脚本を書く段階から「この場面はどう撮るか」を考えられるのが強みです。
ただ、撮る側の都合を優先しすぎると、物語の芯がぼやけることもあります。脚本を書く時はいったん物語に集中し、撮り方は後で考える、と分けてみるのもおすすめです。
自主映画から始めるルート
自分で書いた短編を、仲間と一緒に撮ってしまう道です。完成した作品を映画祭や上映会に出すことで、書いたものが映像になる経験を早く積めます。
例えば「10分の短編を、知り合いの家と近所の公園だけで撮る」と決めると、場面数や登場人物の数を絞る練習にもなります。
最初から登場人物が多い長編を撮ろうとして、途中で止まってしまうことです。最初は少人数・少ない場所で撮れる短編から始めてみてください。
迷った時のルートの選び方
『3つとも気になって決められない』という方もいるはずです。そんな時は、今の自分の状況から選んでみてください。
| 今の状況 | 始めやすいルート | 最初の一歩 |
|---|---|---|
| 一人で書く時間は取れる | 脚本だけ書く | 短編を書いてコンクールの規定を調べる |
| 映像を撮ることにも興味がある | 監督もする | スマートフォンで1分の場面を撮ってみる |
| 一緒に作る仲間がいる | 自主映画から | 少人数で撮れる10分の短編を書く |
| 会社員で平日は時間が少ない | 脚本だけ書く | 週末に1シーンずつ書き進める |
ルートは途中で変えても大丈夫です。脚本だけ書いていた人が自主映画を撮ってみたり、その逆だったりすることもよくあります。
映画脚本コンクールという入口
映画の脚本家を目指す人にとって、コンクールは実力を見てもらえる大事な入口です。規定は回ごとに変わるので、応募前に最新の募集要項を確認しておきましょう。
映画の脚本を対象にしたコンクールとしては、日本映画製作者連盟が行う「城戸賞」があります。劇場用映画の脚本を募集するコンクールです。
城戸賞の第52回の募集要項では、未発表のエンタテインメント劇場用映画の脚本で、原作のある作品の脚色は対象外とされていました。単独で書いた作品を1人1篇まで応募できる形です。
原稿はA4横・20字×40行の縦書きで、50枚以上60枚以内とされていました。推奨のフォーマットも公式サイトで配られています。
- 未発表のオリジナル作品か
- 枚数と書式が最新の募集要項どおりか
- 応募できる人の条件に当てはまっているか
- 生成AIで書いた脚本は対象外という規定がないか
- 締切と応募方法を確認したか
応募原稿を準備する流れ
- 応募したいコンクールの最新の募集要項を読む
- 指定の枚数に合わせて、場面の配分をハコ書きで決める
- 指定の書式で脚本を書き上げる
- 数日空けてから読み直し、分かりにくい場面を直す
- 表紙や登場人物表など、必要な書類をそろえて応募する
枚数の規定がある時は、書き上げてから削るより、最初に場面ごとの枚数を決めておくほうが楽です。
例えば「冒頭の場面は5枚まで」「クライマックスに10枚使う」のように、配分のメモを先に作っておくと調整しやすくなります。
城戸賞では、全国公開の劇場用映画の脚本を2本以上書いた経験がある人は対象外とされています。これから映画の脚本家を目指す人に向けた入口と言えます。
ほかにも、テレビ局・映画祭・自治体などが脚本の公募を行っています。テレビドラマ向けのコンクールで力をつけてから映画に進む人もいます。
例えば日本放送作家協会とNHKが行う「創作テレビドラマ大賞」は、未発表のオリジナルのテレビドラマ脚本を募集しています。第50回の募集要項では、放送時間は45分とされていました。
映画とは尺が違いますが、限られた時間で物語をまとめる練習になります。映画の脚本を書きながら、こうした公募に挑戦してみるのも一つの方法です。応募先の選び方はシナリオコンクールの選び方が参考になります。
映画の脚本家を目指す人のよくある相談
よく見られる相談は「物語の大元は誰が考えるの?」「映画をたくさん見ていないと目指せない?」の2つです。どちらも、気負いすぎなくて大丈夫な話です。
相談1:話の大元は監督と脚本家のどちらが考えるの?
『最初の「こういう話を作りたい」は、監督が決めるの?脚本家が決めるの?』という相談です。
結論から言うと、作品によって違います。プロデューサーが企画を立てて脚本家に頼むこともあれば、監督が題材を持ち込むこともあります。
脚本家が自分の企画を持ち込む形もあります。だからこそ、目指す段階から「一文で言える企画」をいくつも書きためておくと強みになります。
相談2:映画をあまり見ていなくても目指せる?
『映画好きの人に比べて、見ている本数が少ない。それでも脚本家を目指していいの?』という相談も見られます。
見た本数が多いことは助けになりますが、それだけで決まるわけではありません。大事なのは、1本の映画を深く見られるかどうかです。
1本の映画を2回見てみてください。1回目は普通に楽しみ、2回目は場面が変わるたびに「何が起きたか」を1行でメモします。これだけで構成の見え方が変わります。
相談3:映画の脚本家は街で取材をするの?
『映画の脚本家だという人に、普段の暮らしを聞かれた』という相談もあります。
脚本家が物語の下調べとして、人の暮らしや仕事について話を聞くことはあります。ただ、知らない人に個人的なことを聞かれた時は、無理に答えなくて大丈夫です。
目指す側としては、取材も大事な練習です。家族の仕事の話を聞く、図書館で資料を読むなど、身近なところから始めてみてください。
書く力をつける学び方
映画の脚本家になるための練習は、短編を書き上げる、読んでもらう、直す、の繰り返しです。この流れを回せる環境をどう作るかが大事になります。
- 好きな映画を1本選び、場面ごとに1行でメモする
- 物語を一文で言える企画を3つ書く
- 一番書きたい企画で、20〜30分の短編脚本を書き上げる
- 人に読んでもらい、分かりにくかった場面を聞く
- 直した脚本を、コンクールなどに出してみる

書き写しの練習をする場合は、自分の練習用にとどめ、公開しないようにしてください。
独学で続けるのも一つの道です。ただ、書式や構成の癖は、自分ではなかなか気づけないものなんです。
独学で行き詰まったら、プロの添削を受けられるシナリオ講座を比べてみると、次の一歩が見えやすくなります。
シナリオ講座の案内
脚本を基礎から学ぶなら、プロの添削を受けられる講座を見てみませんか
日本シナリオ作家協会のシナリオ講座は、基礎科と研修科の2段階。教室クラスとリモートクラスがあり、映画やテレビドラマの現場で活躍する現役脚本家が作品指導をすると案内しています。
無料シナリオ講座の詳細を見る受講料・開講日程・募集状況は公式サイトでご確認ください。
働きながら目指す時の時間の作り方
会社員や学生で、まとまった時間が取れない方も多いですよね。そんな時は、書く量を小さく区切るのがコツです。
- 1週間に1シーン書くと決める
- 平日は企画メモ、週末は脚本と作業を分ける
- 書いた枚数を記録して、進みを目で見えるようにする
- 締切のあるコンクールを目標に置く
日本シナリオ作家協会は、映画の脚本家が多い団体と言われることがあります。協会の「シナリオ講座」は、現役の脚本家が講師を務め、作品指導が中心の講座です。
脚本家全般になる道筋は脚本家になるにはで紹介しています。
よくある質問
映画の脚本家になるにはどんな学歴が必要ですか?
脚本家になるための必須の資格や学歴はありません。書いた脚本が実力を示す材料になります。
映画脚本家になるには、まずドラマから始めたほうがいいですか?
どちらから始めても構いません。テレビドラマ向けのコンクールで力をつけてから映画に進む人もいます。書きたいものに近いほうから始めてみてください。
社会人からでも映画の脚本家を目指せますか?
目指せます。脚本家には年齢の決まった入口がないので、働きながら書いてコンクールに応募する人もいます。1週間に1シーンなど、続けられる量から始めてみてください。
映画脚本のコンクールはいつ募集していますか?
時期や規定は回ごとに変わります。応募したいコンクールの公式サイトで、最新の募集要項を確認してください。
生成AIで書いた脚本を応募できますか?
城戸賞などでは、生成AIを使って書いた脚本は対象外と明記されています。自分の手で書いた脚本で応募しましょう。
まとめ
- 映画の脚本家になるための必須の資格はなく、書き上げた脚本が出発点
- ルートは「脚本だけ書く」「監督もする」「自主映画から」の3つ
- 城戸賞など映画脚本のコンクールは実力を見てもらえる入口
- 短編を書き上げ、読んでもらい、直す流れを回すことが練習になる





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