アニメ脚本家になるには?シリーズ構成との違いと入口

アニメ脚本家になるにはどうすればいいかを紹介する記事のアイキャッチ

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好きなアニメを見ていて、エンドロールの「脚本」や「シリーズ構成」の名前が気になったことはありませんか。自分もあの物語を書く側に回りたい、と思う方も多いはずです。

結論から言うと、アニメ脚本家になるには、決まった資格や試験はありません。シナリオを学んで書き上げた作品を武器に、公募や講座、制作の現場などから入口を探していくことになります。

この記事では、アニメの脚本がどう作られているかと、アニメの脚本家になるための入口を順番にお話しします。

目次

アニメの脚本家はどんな仕事をしている?

先に結論

アニメの脚本家は、1話ごとの物語をセリフとト書きで書く仕事です。シリーズ全体の流れを決める「シリーズ構成」と組んで、各話の脚本を仕上げていきます。

脚本は、セリフと「ト書き」でできています。ト書きは、場面の状況や人物の動きを書いた部分のことです。

アニメの脚本家は、このセリフとト書きで「この話数で何が起きるか」を書きます。その脚本をもとに、絵コンテや作画へと作業が進んでいきます。

『アニメの脚本家って、キャラクターの絵も描くの?』と思う方もいるかもしれません。実は、脚本家は絵を描かないのが一般的なんです。脚本家が書くのは文字だけで、絵にするのは絵コンテを描く人やアニメーターの仕事です。

役割主にすること作るもの
シリーズ構成シリーズ全体の流れと各話の役割を決める全体の構成案
各話の脚本家1話分の物語をセリフとト書きで書く各話の脚本
絵コンテを描く人脚本を画面の流れに置き換える絵コンテ
監督作品全体の演出をまとめる完成した映像

原作ものとオリジナル作品

アニメには、漫画や小説などの原作があるものと、オリジナルの物語で作るものがあります。

原作のある作品では、原作の魅力を保ちながら、放送の話数に合わせて物語を組み直すことになります。オリジナル作品では、物語の種から作る力が問われます。

補足

どちらの場合も、脚本家一人で決めるのではなく、監督やプロデューサー、シリーズ構成などとの打ち合わせを重ねて内容を詰めていきます。

シリーズ構成・各話脚本・絵コンテはどうつながる?

ここが大事なところです

アニメの脚本は「シリーズ構成で全体を決める」「各話脚本で1話分を書く」「絵コンテで画面に置き換える」の順にバトンが渡ります。この流れを知っておくと、脚本家の役割がぐっと見えやすくなります。

アニメの脚本づくりの流れを、大まかに並べてみました。作品によって細かな進め方は違うので、目安として見てください。

脚本が絵になるまでの流れ
  1. 企画の打ち合わせで、作品の方向と話数を決める
  2. シリーズ構成が、全体の流れと各話で起きることを決める
  3. 各話の脚本家が、担当の話数のプロットと脚本を書く
  4. 打ち合わせで意見をもらい、脚本を直して決定稿にする
  5. 決定稿をもとに絵コンテが描かれ、作画へ進む
アニメの脚本がシリーズ構成から各話脚本、絵コンテへ渡る流れを示した図解

シリーズ構成と脚本家の違い

『シリーズ構成と脚本家は何が違うの?』という疑問はよく聞かれます。

シリーズ構成は、全話を通した設計図を作る役割です。各話の脚本家は、その設計図の中の1話分を書き上げる役割です。

たとえば「第3話で主人公が仲間と初めてぶつかる」「第6話で和解する」とシリーズ構成が決め、各話の脚本家がその話数の場面とセリフを書く、という関係です。シリーズ構成が自分でいくつかの話数の脚本を書くことも多くあります。

比べる点シリーズ構成各話の脚本家
見ている範囲シリーズ全体担当する話数
決めること各話の役割、伏線の置き場所場面の順番、セリフ、動き
求められる力長い物語を設計する力1話を面白くまとめる力
関わる時期企画の早い段階から構成が決まってから

脚本の打ち合わせでのやり取り

脚本ができると、監督やプロデューサーなどと一緒に読み合わせて意見を出し合います。この打ち合わせは「本読み」と呼ばれることもあります。

たとえば、こんなやり取りがあります。

監督「この話数の最後、主人公の表情で終わりたいので、セリフを一つ減らせますか」

脚本家「分かりました。最後のセリフを削って、窓の外を見る動きに変えます」

こうして直しを重ねながら、絵コンテに渡せる形に整えていきます。

1話の終わりに「引き」を置く

テレビアニメは、毎週続けて見てもらう作り方が多いです。だから1話の終わりに「次はどうなるの?」と思わせる引きを置くことが大事になります。

たとえば「主人公がずっと探していた相手の名前を、敵側の人物が口にする」場面で終わると、次の話数が気になりますよね。

引きの場所は、シリーズ構成が決めることもあれば、各話の脚本家に任されることもあります。どちらの場合も、その話数の中で何を解決し、何を次に残すかを意識して書いてみてください。

実写ドラマとアニメの脚本はここが違う

先に結論

アニメの脚本は、書いたものがすべて「描くもの」になります。実写ドラマよりも、場面やキャラクターの動きが作業の量に直結しやすいのが大きな違いです。

同じ脚本でも、アニメと実写ドラマでは気をつけるところが変わります。違いを表にまとめてみました。

観点アニメの脚本実写ドラマの脚本
1話の長さ30分の放送枠で書くことが多い45分前後や1時間枠などさまざま
場面の作り方現実にない場所や動きも描ける撮影できる場所や天候に左右される
作業の量登場人物や動きが増えるほど作画の手間が増える人数や場所が増えるほど撮影の手間が増える
声の芝居声優の声で感情を伝える俳優の表情や間で伝える
次の工程絵コンテで画面に置き換える監督が撮影の段取りを決める

「描ける」からこそ考えたいこと

アニメなら、空を飛ぶ場面も、何百人が走る場面も書けます。ここがアニメの脚本の楽しいところですよね。

ただ、書いたものはすべて誰かが描くことになります。大勢が一斉に動く場面を毎回書くと、作画の負担が大きくなってしまいます。

よくある失敗

見せ場ではない場面にも、登場人物を大勢並べて動かしてしまうことです。「この場面に本当にこの人数が必要かな」と見直すだけで、作り手にやさしい脚本になります。

セリフは「声」で聞かせる前提で

アニメでは、声優の声が感情を伝える大きな役割を持ちます。声に出して読んだ時に、言いやすく耳に残るセリフかどうかが大事です。

書いたセリフは、一度声に出して読んでみてください。言いにくい言葉や、長すぎる説明セリフに気づきやすくなります。

現実にない設定は最初に決めておく

アニメでは、魔法のある世界や未来の街など、現実にない設定を描くことがよくあります。こうした設定は、脚本を書き始める前に決めておくのがコツです。

たとえば「この世界では、手紙は鳥が運ぶ」と決めたなら、どの話数でもそのルールを守ります。途中で設定がぶれると、見る人が物語に入り込みにくくなってしまうんです。

設定を決める時に書き出すこと
  • 物語の舞台になる場所と時代
  • その世界だけにあるルール
  • ルールを破ると何が起きるか
  • 主人公がその世界で困っていること

アニメの脚本家になるには?主な入口

先に結論

アニメの脚本家になるための入口は、主に「シナリオを学んで公募や紹介から」「制作の現場に入って近づく」「小説やゲームのシナリオから広げる」の3つです。どの道でも、書き上げた脚本が出発点になります。

アニメの脚本家になるためには、どこかに就職すれば自動的になれる、という道はほとんどありません。いくつかの入口を組み合わせて近づいていく形が多いです。

入口進み方の例向いている人
シナリオを学ぶ講座やスクールで書く力をつけ、公募や紹介につなげる書くことに集中したい人
公募に応募するアニメやドラマの脚本の公募に作品を出す自分の作品で勝負したい人
制作の現場に入る制作会社で働きながら現場の流れを知る作り手の近くで学びたい人
別の書き仕事から広げる小説やゲームのシナリオを書き、アニメにつなげるすでに文章を書いている人

アニメの脚本家に向いている人

『自分はアニメの脚本家に向いているのかな』と気になる方もいますよね。才能より、次のような習慣のほうが続けるうえで効いてきます。

習慣アニメの脚本で役立つ場面
キャラクターの口ぐせや性格をよく見ている声に出して自然なセリフが書ける
1話の流れを思い返す癖がある30分枠の配分がつかみやすくなる
人の意見を聞いて書き直せる本読みでの直しを乗り切れる
締切までに書き上げられるシリーズのスケジュールに合わせられる

今の時点で全部そろっていなくても大丈夫です。書き上げる本数が増えるほど、自然と身についていきます。

公募はアニメ以外にも目を向ける

アニメの脚本だけを対象にした公募は、多くはありません。そのため、テレビドラマや映画の脚本のコンクールで力を試す人もいます。

たとえば日本放送作家協会とNHKが行う「創作テレビドラマ大賞」は、未発表のオリジナルのテレビドラマ脚本を募集しています。ほかにも、テレビ局・映画祭・自治体などが脚本の公募を行っています。

規定は回によって変わるので、応募前に最新の募集要項を確認しておきましょう。生成AIで書いた脚本は対象外とする公募も増えています。

小説やゲームのシナリオから広げる

アニメの物語は、小説やゲームとも近いところにあります。小説を書いていた人や、ゲームのシナリオを書いていた人が、アニメの脚本に関わるようになることもあります。

ゲームのシナリオとの違いはゲームシナリオライターと脚本家の違いで、小説との違いは小説家と脚本家の違いで詳しく比べています。

どの入口でも準備しておきたいもの
  • 書き上げたオリジナルの脚本を1本以上
  • 30分枠を想定した短めの脚本
  • 物語を一文で言える企画メモをいくつか
  • 主な登場人物と、それぞれが求めているものの一覧

アニメの脚本家を目指す人のよくある相談

先に結論

特に多いのは「制作進行として入るのが近道?」「社会人からはどう目指す?」「どの大学に行けばいい?」の3つです。どれも、答えは1つではありません。

相談1:制作会社に制作進行として入るのが近道?

『アニメの脚本家になるには、制作会社に制作進行で入るのが早いって本当?』という相談は、とても多く見られます。

制作進行は、作品のスケジュールを管理し、各工程をつなぐ仕事です。現場の流れや作り手とのつながりを知れる点では、アニメの脚本家に近づく一つの道と言えます。

ただし、制作進行は脚本を書く仕事ではありません。忙しい時期は書く時間を作るのが難しいこともあります。

制作進行から入る良さ
  • アニメが作られる流れを中から知れる
  • 監督やプロデューサーとの接点ができる
  • 脚本が絵コンテや作画にどう使われるか分かる
気をつけたいこと
  • 脚本を書く仕事そのものではない
  • 忙しい時期は書く時間を作りにくい
  • 書いた脚本がないと、声がかかっても応えにくい

どの道を選んでも、自分で書いた脚本を手元に持っておくことが大事です。

相談2:社会人からアニメの脚本家を目指す方法は?

『社会人だけど、シナリオスクール、公募、持ち込みのどれが主流?』という相談もあります。

結論から言うと、どれか1つに絞る必要はありません。スクールで学びながら公募に出す、という組み合わせで進める人も多いです。

持ち込みについては、受け付けているかどうかが会社や作品によって違います。事前に受付の有無を確かめ、受け付けていない所には送らないようにしましょう。

会社員で平日は1時間しか取れない場合は、「平日は企画メモ、週末に脚本を2〜3シーン」のように作業を分けると続けやすくなります。

社会人が続けやすくする工夫
  • 1週間に1シーン書くと決める
  • 通勤中はアニメを場面ごとに思い返す時間にする
  • 書いた枚数を記録して、進み具合を見えるようにする
  • 締切のある公募を目標に置く

働きながら目指す場合、時間が限られる分、「何を書くか」を先に決めておくのが大事です。机に向かってから考えるより、企画メモを見てすぐ書き始められる状態にしておきましょう。

相談3:どの大学に行けばいい?絵も描けないとだめ?

『アニメの脚本家になるには、どの大学に行くべき?アニメーターの技術も必要?』という相談も見られます。

脚本家になるための必須の資格や学歴はありません。文学部でも、それ以外の学部でも、書く力を伸ばせば目指せます。

絵を描く技術は、脚本家には必須ではありません。ただ、絵コンテや作画の流れを知っておくと、描く人にやさしい脚本が書けるようになります。

どの相談にも共通すること

制作進行、スクール、大学と、入口の選び方は人それぞれです。それでも、自分で書き上げた脚本がないと、チャンスが来た時に見せるものがありません。どの道を選ぶ場合も、書く手は止めないようにしておきましょう。

今日から始める練習と学び方

先に結論

アニメの脚本家を目指す練習は、「アニメを場面ごとに分けて見る」「30分枠の脚本を書き上げる」「人に読んでもらう」の3つから始められます。

『何から手をつければいいか分からない』という方も多いはずです。まずは、手を動かせる小さな練習から始めてみましょう。

最初の3か月でやること
  1. 好きなアニメを1話選び、場面が変わるたびに1行でメモする
  2. その1話を、始まり・中盤・結末の3つに分けてみる
  3. 自分の作品で、全体の流れを決めた構成メモを作る
  4. 構成メモの中から1話分を選び、脚本を書き上げる
  5. 書いた脚本を声に出して読み、言いにくいセリフを直す
  6. 人に読んでもらい、分かりにくかった場面を聞く
アニメの脚本家を目指す人が最初の3か月で取り組む練習の流れを示した図解

アニメを見ながらメモを取るのは、自分の練習用にとどめてください。セリフを書き写す練習をする場合も、公開しないようにしましょう。

構成メモはこんな形で作る

構成メモは、難しく考えなくて大丈夫です。話数ごとに「何が起きるか」を1行で書くだけでも、全体の流れが見えてきます。

話数何が起きるか終わり方
第1話主人公が不思議な力に気づく力を見られてしまう
第2話力を隠して日常に戻ろうとする同じ力を持つ人物が現れる
第3話その人物とぶつかる主人公が自分の力の秘密を知る

この中から1話を選んで脚本にすると、前後の話数とのつながりを意識しながら書けるようになります。

脚本の基本書式を覚えておく

日本の脚本は、「柱」「ト書き」「セリフ」で書くのが一般的です。柱には場面の場所と時間を書きます。

書式の例

○ 放課後の屋上(夕)
フェンスにもたれた少女が、校庭を見下ろしている。
少女「明日になったら、全部変わってるといいのに」

原稿は200字詰め(20字×20行)を1枚と数える「ペラ」で量ることが多いです。書式を守っておくと、読む人が内容をすぐつかめるようになります。

書いたものを見てもらう場を作る

脚本は、人に読まれて初めて伝わるかどうかが分かります。ただ、身近な人に読んでもらうだけでは、書式や構成の癖までは指摘してもらいにくいものです。

独学で書き続けるのも立派な道です。それでも、どこを直せばいいか分からなくなる時期は多くの人に訪れます。

独学で行き詰まったら、プロの添削を受けられるシナリオ講座を比べてみると、次の一歩が見えやすくなります。

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よくある質問

アニメの脚本家とシリーズ構成は同じ人ですか?

同じ人が担当することもあれば、別の人が担当することもあります。シリーズ構成が全体を決め、自分でもいくつかの話数の脚本を書くことが多いです。

アニメの脚本家になるのに絵は描けたほうがいいですか?

脚本家は絵を描かないのが一般的なので、必須ではありません。ただ、絵コンテや作画の流れを知っておくと、描く人にやさしい脚本が書けます。

アニメの脚本家に年齢制限はありますか?

脚本家になるための年齢の決まりはありません。社会人になってから学び始める人もいます。

アニメの脚本は何枚くらい書けばいいですか?

長さは作品の放送枠や、応募する公募の規定によって変わります。原稿は200字詰めを1枚と数える「ペラ」で量ることが多いので、まずは書きたい長さの目安を決めて書いてみてください。

アニメの脚本の公募はありますか?

アニメ専門の公募は多くありませんが、ドラマや映画の脚本の公募で力を試す人もいます。規定は回によって変わるので、最新の募集要項を確認してください。

まとめ

この記事の要点
  • アニメの脚本家は、1話ごとの物語をセリフとト書きで書く仕事
  • シリーズ構成が全体を決め、各話の脚本から絵コンテへとバトンが渡る
  • アニメは書いたものがすべて描くものになるので、場面や人数を見直す
  • 入口は、シナリオを学ぶ、公募、制作の現場、別の書き仕事などがある
  • まずは30分枠の脚本を1本書き上げ、人に読んでもらう
脚本家ガイド

脚本家ガイド 編集部

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