脚本家になるには?未経験からデビューまでの道のり

書きかけの脚本原稿と応募書類が並ぶ机

当サイトの記事は編集部が業界団体・公的機関の公式サイトなどの公開情報を調べて独自に執筆しています。記事内に講座・スクールへの案内を含みます。

『脚本家になりたいけど、何から始めればいいのか分からない』という方は多いですよね。

結論から言うと、脚本家になるには、決まった資格や学歴は要りません。書式を覚えて1本書き上げ、コンクールや講座で人に読んでもらう流れをくり返すことが基本です。

この記事では、デビューの入口を4つのルートに分けて、あなたに合う最初の一歩を見つけられるようにお話しします。

目次

脚本家になるには?結論は「書いて、出して、見てもらう」のくり返し

先に結論

脚本家になるための必須の資格はありません。脚本の書式を覚えて作品を書き上げ、コンクールに応募したり添削を受けたりしながら、制作側との接点を作っていくのが一般的な道のりです。

『資格がないなら、何を頑張ればいいの?』と迷いますよね。

脚本家に求められるのは、紙の上で物語を組み立て、現場の人が動ける形に書く力です。

この力は、書いて人に読んでもらう回数で伸びていきます。

脚本家になるために要るもの・要らないもの

項目必要かどうかひと言
資格・免許必須ではない脚本家になるための資格はない
学歴必須ではない専門学校や大学で学ぶ人もいる
脚本の書式の知識要る柱・ト書き・セリフの書き方
書き上げた作品要る応募や紹介の時に読んでもらうもの
人に読んでもらう場あると伸びが早い講座・仲間・コンクール
締め切りを守る習慣要るプロとして仕事を続ける土台

資格や学歴について気になる方は、脚本家に資格や学歴は必要?でくわしく紹介しています。

まずは脚本家という仕事を知っておく

脚本家は、プロデューサーや監督との打ち合わせで企画の方向や内容を詰めながら、脚本を書いて直していく仕事です。

『一人で好きな話を書く仕事』と思っていると、直しの多さに驚くかもしれません。

仕事の中身を先に知っておくと、目指し方も選びやすくなりますよ。くわしくは脚本家とは?仕事内容と役割で紹介しています。

脚本家になる流れの全体像

実は、脚本家になる道は人によってかなり違います。

ただ、多くの人に共通しているのは、次の3つを何度も回していることなんです。

脚本家になるまでの基本の流れ
  1. 書式を覚えて、短い場面から書いてみる
  2. プロットを作り、1本の作品として書き上げる
  3. コンクールに出したり、講座で添削を受けたりして読んでもらう
  4. 指摘を受けて書き直し、次の作品に生かす
  5. 受賞や紹介をきっかけに、制作側との打ち合わせに呼ばれる

この流れの中で、どこから入るかが「ルート」の違いになります。

最初につまずきやすいところ

脚本家を目指し始めた人がつまずくのは、書き方の知識より「続け方」のことが多いんです。

よくあるつまずき
  • 書き方の本を読むだけで、実際に書かないまま時間が過ぎる
  • 長い作品から始めて、途中で止まってしまう
  • 書き上げても誰にも見せず、直す機会がない

どれも、短い作品を書いて人に見せる回数を増やすと、自然に抜け出しやすくなります。

デビューの入口は4ルート:コンクール・スクール経由・制作現場経由・別ジャンルから

脚本家になる決まった道はありませんが、入口は大きく4つに分けられます。

脚本家デビューの4つの入口と向く人を並べた図解

4つのルートの比べ方

下の表は、よくある入口を当サイトで4つに分けたものです。一つに絞る必要はなく、組み合わせて進める人も多いです。

ルートどんな入口か向く人最初の一歩
コンクールシナリオの公募に応募し、受賞や入選をきっかけにする一人でも書き上げられる人・地方に住んでいる人応募したい賞の募集要項を読む
スクール経由講座で学び、添削や修了後のコースでつながりを作る書き方を基礎から学びたい人・仲間がほしい人講座の開講時期と受講形式を調べる
制作現場経由制作会社や現場の仕事に就き、書く機会をつかむ現場の流れを肌で知りたい人制作に関わる仕事の求人や募集を探す
別ジャンルから小説・漫画原作・演劇・放送作家などから脚本に広げるすでに別の書く仕事や表現をしている人今の作品の1場面を脚本の形に書き直す

ルート1:コンクール

コンクールは、未経験の人が作品だけで勝負できる入口です。

日本放送作家協会とNHKが主催する創作テレビドラマ大賞、日本映画製作者連盟の城戸賞などがあります。

ほかにも、テレビ局・映画祭・自治体などが脚本の公募を行っています。

応募前のよくある失敗

規定の枚数や書式を読み飛ばして応募してしまうことです。規定は回によって変わるので、応募前に最新の募集要項を確認してみてください。

コンクールの選び方は、シナリオコンクールの選び方でくわしく紹介しています。

ルート2:スクール経由

講座やスクールは、書き方を順番に学べて、プロの添削も受けられる入口です。

業界団体の講座としては、日本シナリオ作家協会の「シナリオ講座」や日本脚本家連盟スクールがあります。

同じ目標の仲間と知り合えるのも、スクールならではの良さですよね。

ルート3:制作現場経由

制作会社などで現場の仕事をしながら、脚本を書くチャンスを探す人もいます。

作品ができるまでの流れや、打ち合わせの空気を間近で知れるのが強みです。

ただ、現場の仕事は忙しくなりやすいので、書く時間をどう作るかを先に考えておきましょう。

ルート4:別ジャンルから

小説や演劇、放送作家などの仕事から、脚本へ広げていく人もいます。

すでに物語や構成を作る力があるなら、脚本の書式とセリフで見せる書き方を足すだけで、ぐっと近づけるんです。

自分の状況に合わせたルートの組み合わせ方

4つのルートは、どれか一つを選ぶものではありません。今の状況に合わせて組み合わせるのが現実的です。

今の状況組み合わせの例最初の3か月でやること
高校生・大学生コンクール+部活やサークルでの上演短い作品を書いて仲間に演じてもらう
会社員で平日は時間が少ないコンクール+オンラインの講座週末に1シーンずつ書き、1本仕上げる
地方に住んでいるコンクール+オンラインの添削応募先を1つ決めて規定どおりに書く
映像や舞台の現場で働いている制作現場経由+コンクール現場で見た流れを生かして1本書く
小説や演劇の経験がある別ジャンルから+コンクール自作の1場面を脚本の形に直す

例えば会社員で平日は1時間しか取れない場合でも、平日はプロット、週末は本文と分ければ、少しずつ前に進めます。

脚本家になるために、まず身につけたい書く力

『どのルートを選ぶにしても、結局何を練習すればいいの?』と思いますよね。

結論から言うと、どのルートでも最初に要るのは「書式」「設計」「書き上げる力」の3つです。

書式:柱・ト書き・セリフ

日本の脚本は、場面の場所と時間を書く「柱」、人物の動きを書く「ト書き」、「人物名+セリフ」でできています。

例えば、離島の診療所を舞台にした群像劇なら、こんな形です。

部品書き方の例
柱○ 診療所・待合室(朝)
ト書き古いベンチに、漁師の老人がひとり座っている。
セリフ老人「先生、今日は船が出るまでに診てくれるか」

書式は覚えてしまえば難しくありません。くわしくは脚本の書き方の基本で紹介しています。

設計:プロットと構成

いきなり書き始めると、途中で話が止まってしまうことがよくあります。

先にあらすじと場面の順番を決める「プロット」を作っておくと、最後まで書き切りやすくなるんです。

プロットの作り方はプロット・ハコ書きの書き方にまとめています。

書き上げる力:枚数の感覚を持つ

脚本の量は、200字詰め(20字×20行)を1枚と数える「ペラ」で量ることが多いです。

コンクールの多くは枚数が決まっているので、決められた枚数で話をまとめる練習が欠かせません。

書く力のセルフチェック
  • 柱・ト書き・セリフの書き分けができる
  • 書く前にプロットを1枚にまとめられる
  • 決めた枚数の中で話を終わらせられる
  • 書いたものを声に出して読み、直せる
  • 1本を最後まで書き上げたことがある

まだ当てはまらない項目があっても大丈夫です。チェックが付かない所が、次に練習するポイントになります。

1週間の練習メニューの例

『何をどれだけ書けばいいの?』という方のために、1週間の練習の目安を置いておきます。

曜日やることかける時間の目安
月・火ドラマや映画を1本見て、気になった場面をメモする1日30分
水メモした場面を柱・ト書き・セリフに分けて書いてみる30分
木・金自分の1シーンのプロットを考える1日30分
土1シーン(数枚)を書き上げる2時間
日声に出して読み、直す1時間

好きな作品の場面を書き写す練習は、自分の練習用にとどめて公開しないようにしておきましょう。

脚本家になる第一歩:コンクールに出すまでの手順

脚本家になるための一歩目として、コンクールへの応募を目標にする人は多いです。

締め切りがあると、書き上げる理由ができますよね。

脚本を書き上げてコンクールに応募するまでの手順の図解
応募までの手順
  1. 応募したいコンクールを1つ決め、最新の募集要項を読む
  2. 規定の枚数・書式・対象(未発表・オリジナルなど)を書き出す
  3. テーマを決めてプロットを作る
  4. 初稿を書き上げ、数日置いてから読み返す
  5. 声に出して読み、言いにくいセリフや長いト書きを直す
  6. 表紙や登場人物表など、求められる書類をそろえて応募する
赤ペンで添削の入った脚本原稿の写真

応募作のテーマの決め方

『何を書けばいいか思いつかない』という時は、身近な場所から考えるのがおすすめです。

例えば「地方の商店街で、店を閉めるかどうか迷う家族」のように、自分が知っている場所と人の悩みを組み合わせてみてください。

自分がよく知る場所なら、ト書きの細かい描写にも説得力が出るんです。

本文以外に求められる書類

コンクールによっては、本文のほかに表紙・あらすじ(梗概)・登場人物表が求められます。

例えば創作ラジオドラマ大賞の第54回の募集要項では、表紙・800字以内の梗概・登場人物表・本文という構成が示されています。

本文を書き終えてから梗概を慌てて書くと、話の魅力が伝わりにくくなりがちです。プロットの段階で、短いあらすじも一緒に作っておくと安心ですよ。

最近の募集要項で気をつけたいこと

公募の規定は回ごとに変わりますが、最近は共通して見かける決まりがあります。

よくある決まり意味気をつけること
未発表・オリジナル発表していない自作であることネットに公開した作品の扱いを要項で確かめる
1人1作品応募できる本数の上限複数書いたら一番良いものを選ぶ
多重投稿の禁止同じ作品を他の賞に同時に出さない応募先ごとに作品を分ける
生成AIの使用不可AIで書いた脚本は対象外自分の手で書いたものを出す

創作テレビドラマ大賞や創作ラジオドラマ大賞、城戸賞では、生成AIを使って書いた脚本は対象外と明記されています。

補足

落選しても、その作品は次の作品の練習台になります。応募したら結果を待たずに、次のプロットを考え始めておくと、書く習慣が途切れません。

独学かスクールか:脚本家になるための学び方の選び方

『独学でもなれるのか、スクールに通うべきか』は、脚本家を目指す人が一度は悩むところですよね。

どちらが正解ということはなく、今の自分に足りないもので選ぶのが近道です。

独学が合う人
  • 自分で締め切りを決めて書き続けられる
  • 本や作品から書き方を学ぶのが好き
  • 書いたものを読んでくれる仲間がすでにいる
独学でつまずきやすい点
  • 自分の脚本の弱点に気づきにくい
  • 1本書き上げる前に止まってしまいやすい
  • 業界の人と知り合うきっかけが少ない

独学の進め方は、脚本家は独学でなれる?でくわしく紹介しています。

スクールを選ぶ時に見る点

講座やスクールを考えるなら、名前や雰囲気より中身で比べてみてください。

スクール選びのチェックポイント
  • 添削があるか、何回受けられるか
  • 課題がどのくらいの頻度で出るか
  • 講師が現役で書いている人か
  • 通学かオンラインか、自分の生活に合うか
  • 受講期間と、修了後に続けられるコースがあるか

例えば日本シナリオ作家協会の「シナリオ講座」は、基礎科と研修科の2段階で、教室クラスとリモートクラスがあると案内されています。

日本脚本家連盟スクールは、本科が約6か月で、通学・オンライン・ハイブリッドで受講できると案内されています。

どちらも開講時期や内容は変わることがあるので、最新の案内を確認しておきましょう。

専門学校・大学という選択肢

小説やシナリオを学べる学科を置く専門学校や、映像・文芸系の学部を持つ大学もあります。

数年かけてじっくり学びたい人や、仲間と作品を作りたい人には合う選択肢です。

ただ、小説・シナリオ系の学科の学生募集を停止した学校もあるので、学科の募集状況は最新の公式情報で確かめてください。

選び方は脚本家を目指せる専門学校・大学の選び方でまとめています。

本で学ぶ時のコツ

脚本の書き方の本は、独学でもスクールでも心強い味方になります。

ただ、何冊も読み比べるより、1冊を決めて、書いてある練習を実際に手を動かしてやってみるほうが身につきやすいです。

「読んだら1シーン書く」とセットにしておくと、知識が自分の脚本に生きてきますよ。

本の選び方は脚本家になるための本の選び方で紹介しています。

書いた脚本をプロに見てもらうと、自分では気づけなかった直し方がぐっと見えてきます。

独学で行き詰まったら、プロの添削を受けられる講座を比べてみると、次の一歩が見えやすくなりますよ。

シナリオ講座の案内

脚本を基礎から学ぶなら、プロの添削を受けられる講座を見てみませんか

日本シナリオ作家協会のシナリオ講座は、基礎科と研修科の2段階。教室クラスとリモートクラスがあり、映画やテレビドラマの現場で活躍する現役脚本家が作品指導をすると案内しています。

無料シナリオ講座の詳細を見る

受講料・開講日程・募集状況は公式サイトでご確認ください。

講座の選び方は、脚本家の教室・シナリオスクールの選び方で目的別にまとめています。

脚本家になりたい人からのよくある相談

ここでは、脚本家を目指す人からよく寄せられる相談を、内容を要約してお答えします。

相談1:「天才」と言われる脚本家を見ると、才能がない自分には無理だと感じる

ネットで人気の脚本家が「天才」と呼ばれているのを見ると、落ち込んでしまいますよね。

ただ、放送や上映される脚本は、打ち合わせと直しを何度も重ねた完成版なんです。

最初から完成された脚本を書ける人は、ほとんどいません。

比べる相手は他人ではなく、1か月前の自分の脚本にしてみてください。

相談2:お笑い芸人や俳優が脚本を書いているけど、別の仕事からでもなれる?

なれます。脚本家に必須の資格はないので、別の仕事をしながら書き始める人もいます。

会話の間やキャラクターの作り方など、今の仕事で身につけた力が脚本に生きることも多いんです。

相談3:人気のドラマを書く脚本家は、どうやって選ばれているの?

どの脚本家に頼むかは、企画を進めるプロデューサー側が考えることが多いと言われます。

外から決め方を知るのは難しいですが、一つ言えるのは、書き上げた作品がないと名前が挙がるきっかけも作れないということです。

相談4:書いた脚本を、誰に読んでもらえばいい?

家族や友達に見せるのは、ちょっと恥ずかしいですよね。

最初は、同じように書いている仲間や、講座の講師に読んでもらうのが向いています。

読んでもらう時は「どこで退屈したか」「どのセリフが印象に残ったか」の2つだけ聞いてみてください。感想が具体的になり、直す場所が見つけやすくなります。

相談への答え

才能があるかどうかを悩むより、1本書き上げて誰かに読んでもらうことが先です。作品があれば、コンクールでも講座でも、次の扉をたたけます。

脚本家になろう、と決めたその日から、小さな1シーンを書いてみるのがおすすめです。

よくある質問

脚本家になるには何歳までに始めるべきですか?

年齢の決まりはありません。創作テレビドラマ大賞のように性別・年齢・職業を問わないコンクールもあります。ただし年齢の条件がある公募もあるので、募集要項を確認しておきましょう。

脚本家になるためには大学や専門学校に行く必要がありますか?

必須ではありません。専門学校や大学で学ぶ人もいれば、講座や独学で書き方を身につける人もいます。学科によっては募集を停止している場合もあるので、最新の情報を確認してください。

未経験でもコンクールに応募できますか?

応募できるコンクールが多くあります。城戸賞のように、劇場用映画の執筆経験が一定以上ある人は対象外としている賞もあり、新しい書き手のための入口になっています。

脚本家になるにはどのくらい書けばいいですか?

決まった本数はありません。まずは短い場面をいくつか書き、次に応募できる長さの作品を1本書き上げることを目標にすると進めやすいです。

社会人でも脚本家を目指せますか?

目指せます。平日に少しずつプロットを考え、週末にまとめて書くなど、時間の使い方を工夫している人もいます。

まとめ

この記事の要点
  • 脚本家になるには、必須の資格や学歴は要らない
  • 入口はコンクール・スクール経由・制作現場経由・別ジャンルからの4ルート
  • どのルートでも書式・設計・書き上げる力が土台になる
  • 最初の目標は、コンクールの規定に合わせて1本書き上げること
  • 独学で行き詰まったら、添削を受けられる講座も選択肢になる

まずは応募してみたいコンクールを1つ選び、募集要項を読むところから始めてみてください。

脚本家ガイド

脚本家ガイド 編集部

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