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脚本を書き始めたものの、途中で話がどこに向かっているのか分からなくなった経験はありませんか。
結論から言うと、プロットの書き方は「1行で言える話」から少しずつ細かくしていくのがコツです。ログライン、あらすじ、ハコ書きの順に決めていけば、脚本を書く時に迷いにくくなります。
ここでは、段階ごとに何を決めればいいのかを、架空の物語を例にしながらお話しします。
プロットとハコ書きとは?
プロットは、物語の流れを短い文章でまとめた設計図です。ハコ書きは、その流れを場面ごとの箱に分けて並べたもので、脚本を書く直前の設計図になります。
脚本は、セリフと、場面や人物の動きを書くト書きでできています。いきなり書き始めると、場面が増えすぎたり、結末が決まらなかったりしがちなんです。
そこで、脚本の前に物語の骨組みを作っておきます。それがプロットやハコ書きです。
| 呼び方 | どんなものか | 長さの目安 |
|---|---|---|
| ログライン | 物語を1行で言ったもの | 1〜2文 |
| あらすじ(梗概) | 始まりから結末までの流れを文章にしたもの | 数百字から800字前後 |
| ハコ書き | 場面ごとに、場所と起きることを箱に並べたもの | 場面の数だけ |
| 脚本 | 柱・ト書き・セリフで書いた本文 | 作品の長さによる |
呼び方は人や現場によって少し違います。あらすじとハコ書きをまとめてプロットと呼ぶこともあるので、言葉の違いにこだわりすぎなくて大丈夫です。
仕事でもプロットは使われる
仕事として脚本を書く時は、プロデューサーや監督との打ち合わせで、企画の方向や内容を詰めながら進めます。いきなり本文を書くより、先にプロットで方向を相談することが多いんです。
プロットは、自分のための設計図であると同時に、人に物語を伝えるための資料でもあります。
脚本家の仕事の流れ全体は脚本家とは?仕事内容と役割で紹介しています。
ログラインからあらすじ、ハコ書き、脚本へ
プロット作りは、4つの段階で少しずつ細かくしていきます。段階ごとに「ここで決めること」を絞ると、書いている途中で迷いにくくなります。
『プロットって、何から書けばいいの?』と手が止まる方も多いですよね。段階ごとに決めることを手順表にまとめてみました。
| 段階 | ここで決めること | ここではまだ決めないこと |
|---|---|---|
| 1. ログライン | 主人公、目的、立ちはだかる壁 | 場面の順番、セリフ |
| 2. あらすじ | 始まり、転機、山場、結末 | 細かい場所や時間 |
| 3. ハコ書き | 場面ごとの場所・時間・起きること | セリフの言い回し |
| 4. 脚本 | 柱・ト書き・セリフ | (ここで全部を書く) |

ポイントは「まだ決めないこと」を持っておくことです。ログラインの段階でセリフを考え始めると、話の芯が決まらないまま時間が過ぎてしまいます。
1. ログライン:物語を1行で言う
ログラインは「誰が、何をしようとして、何に邪魔されるか」を1行で言ったものです。ここが決まると、物語の芯がぶれにくくなります。
例えば、こんな形です。
「島でただ一人の看護師が、閉鎖が決まった診療所を残そうとして、島を出たい家族とぶつかる話」
『1行にまとめるのが難しい』という方は、次の穴埋めの形を使ってみてください。
| 穴埋めする所 | 書く内容 | 例 |
|---|---|---|
| 誰が | 主人公を一言で | 島でただ一人の看護師が |
| 何をしようとして | 主人公の目的 | 閉鎖が決まった診療所を残そうとして |
| 何に邪魔される | 立ちはだかる壁 | 島を出たい家族とぶつかる話 |
3つの穴が埋まらない時は、まだ物語の芯が決まっていない合図です。ここで時間を使っておくと、後がずっと楽になります。
2. あらすじ:始まりから結末までを文章にする
あらすじでは、ログラインをもとに、始まり・転機・山場・結末を文章でつなげます。この段階では、細かい場所や時間は決めなくてかまいません。
コンクールでは、あらすじ(梗概)の提出を求められることがあります。例えば創作ラジオドラマ大賞の第54回の募集要項では、梗概は800字以内とされています。
規定は回によって変わるので、最新の募集要項を確認してみてください。
3. ハコ書き:場面ごとの箱に分ける
ハコ書きでは、あらすじを場面ごとに分けて、1つずつ箱に書きます。箱には「場所と時間」「その場面で起きること」を書いておきます。
場所と時間は、脚本の柱にそのまま使えます。ハコ書きができれば、脚本はその箱の中身を埋めていく作業になるんです。
4. 脚本:箱の中身を柱・ト書き・セリフで書く
最後に、ハコ書きの箱ごとに、柱・ト書き・セリフで本文を書きます。書式の詳しいルールは脚本の書き方の基本で紹介しています。
架空の物語でプロットの書き方を見てみる
ここでは「離島の診療所」を舞台にした架空の物語で、あらすじとハコ書きの書き方を見てみます。実際に手を動かす時は、この形をまねして書いてみてください。
あらすじの例
あらすじは、始まり・転機・山場・結末の4つが入っていれば十分です。例えば、こんな書き方になります。
| 流れ | あらすじの文 |
|---|---|
| 始まり | 島の診療所に勤める看護師は、来年の春で診療所が閉まると知らされる。 |
| 転機 | 島の人の署名を集め始めるが、家族は島を出て本土で暮らしたいと言い出す。 |
| 山場 | 嵐の夜、診療所の窓が割れ、看護師は家族と一緒に夜道を駆けつけて守る。 |
| 結末 | 夜明け、家族は島に残ると決め、診療所を続けるための話し合いが始まる。 |
文章でつなげる時は、この4つを順番に書くだけで、あらすじの形になります。
ハコ書きの例
次に、このあらすじを場面ごとの箱に分けます。最初の数場面だけ書くと、こんな形です。
| 場面 | 場所と時間 | 起きること |
|---|---|---|
| 1 | 島の診療所・待合室(朝) | 看護師が閉鎖の知らせの手紙を読む |
| 2 | 港の桟橋(昼) | 島の人に閉鎖を伝え、署名を頼む |
| 3 | 看護師の家・台所(夜) | 家族が「島を出たい」と切り出す |
| 4 | 診療所・事務室(夜) | 一人で署名の数を数え、ため息をつく |
場面の数が決まると、全体の長さの見当もつきます。例えば45分のテレビドラマなら、場面がいくつくらいあれば収まるかを、書く前に考えられるんです。
ハコ書きは、紙のカードや付箋に1場面ずつ書いて机に並べるやり方もあります。場面の順番を入れ替えたい時に、動かしやすいのが良いところです。
ハコ書きを書く時のコツ
ハコ書きでは、1つの箱に1つの出来事だけを書きます。箱ごとに「主人公の気持ちがどう動くか」を一言添えておくと、脚本にした時に場面が生きてきます。
『ハコ書きを書いたのに、脚本にすると間延びする』という方もいるかもしれません。実は、1つの箱に出来事を詰め込みすぎていることが多いんです。
- あらすじを読み、場面が変わるところに線を引く
- 線で区切った部分を、1つずつ箱に書き出す
- 箱ごとに「場所と時間」と「起きること」を1行で書く
- 箱ごとに「主人公の気持ちの動き」を一言添える
- 箱を並べて読み、山場に向かって盛り上がるかを確かめる
気持ちの動きを一言添える
例えば「家族が島を出たいと切り出す」場面なら、「看護師は、味方だと思っていた家族に裏切られた気持ちになる」と添えます。
この一言があると、脚本を書く時に、どんなセリフやト書きが必要かが見えてきます。
場面を増やしすぎない
ハコ書きを書いていると、あれもこれも入れたくなりますよね。ただ、場面が多すぎると、1つ1つの場面が短くなり、気持ちの動きを見せる余裕がなくなります。
迷った時は「この箱を抜いたら、物語がつながらなくなるか」を考えてみてください。抜いても話が通じる箱は、別の箱とまとめられることが多いです。
物語全体の組み立てと合わせる
ハコ書きを並べる時は、物語全体の組み立て方も意識しておくと便利です。三幕構成や起承転結に当てはめると、どこが山場かがはっきりします。
組み立て方は脚本の構成の基本で詳しくお話ししています。
プロットの書き方でよくある相談
よく見られるのは「プロットのコツを知りたい」「物語はどうやって作るの?」「書き方にルールはないって本当?」という相談です。どれも、段階を分けて考えると答えが見えてきます。
相談1:プロットの書き方のコツを知りたい
『恋愛ものを書きたいけれど、プロットのコツが分からない』という相談はよく見かけます。
コツは、最初に結末を決めておくことです。2人が結ばれるのか、別れるのかが決まっていれば、そこに向かう場面を逆算できます。
結末が決まらないまま書き始めると、場面が増えるばかりで終わりが見えなくなりがちなんです。
相談2:物語って、そもそもどうやって作るの?
『将来書く仕事がしたいけれど、物語の作り方が分からない』という相談もあります。
物語は、主人公に何かを「させたい」ところから始めると作りやすくなります。そこに邪魔をする壁を置けば、ログラインが1行できあがります。
例えば「引っ越し前日の兄弟が、最後に家族の思い出の場所を探しに行く」と決めれば、壁は「場所がもう残っていない」などと考えていけます。
相談3:書き方にルールはないって本当?
『小説や物語の書き方に、ルールは無いって本当?』という相談も多く見られます。
プロットの書き方には、決まった正解はありません。この記事の4段階も、迷わないための一つの方法です。
ただ、脚本の本文には柱・ト書き・セリフという基本の書式があります。プロットは自由に、脚本は書式どおりに、と考えると分かりやすいです。
- ログラインやあらすじの書き方
- ハコ書きを紙に書くか、パソコンで書くか
- どの段階から考え始めるか
- 脚本本文の柱・ト書き・セリフの書式
- コンクールで求められる梗概の字数
- 公募の規定枚数や提出の形式
書いたプロットを見直すには?
プロットができたら、脚本を書く前に一度見直します。1行で言えるか、結末が決まっているか、場面が多すぎないかを確かめるだけで、書き直しの手間がぐっと減ります。
- ログラインを1行で言える
- 主人公の目的と、立ちはだかる壁がはっきりしている
- 始まり・転機・山場・結末がそろっている
- ハコ書きの1つの箱に、出来事が1つだけ書いてある
- 公募の規定枚数に収まりそうな場面の数になっている

プロットを完璧にしようとして、何週間も脚本を書き始められないことがあります。7割くらい決まったら脚本に進み、書きながら直すくらいで大丈夫です。
人に読んでもらう時の聞き方
プロットは、脚本より短いので人に読んでもらいやすいです。読んでもらう時は、ただ「どうだった?」と聞くより、聞きたいことを絞ると答えが返ってきやすくなります。
「主人公が何をしたい人か、1行で言えそう?」
「うーん、診療所を残したいのは分かるけど、なんでそこまでこだわるのかが分からなかったかな」
こうした答えが返ってきたら、ログラインやあらすじに戻って直すきっかけになります。
コンクールに応募する時は、梗概の字数や規定枚数も見ておきましょう。公募の選び方はシナリオコンクールの選び方で紹介しています。
ただ、自分のプロットのどこが弱いのかは、一人で読み返していても気づきにくいものです。
独学で行き詰まったら、プロットや脚本の添削を受けられる講座を比べてみると、次の一歩が見えやすくなります。
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よくある質問
プロットとあらすじは同じものですか?
ほぼ同じ意味で使われることもあります。この記事では、物語の流れを文章にしたものをあらすじ、それを含む設計図全体をプロットと呼んでいます。
ハコ書きは書かないといけませんか?
書かなくても脚本は書けますが、長い作品ほどハコ書きがあると迷いにくくなります。短い脚本なら、あらすじから直接書いてもかまいません。
プロットはどのくらいの長さで書けばいいですか?
目的によって変わります。自分用ならログラインと数百字のあらすじで十分です。コンクールに出す梗概は、募集要項の字数に合わせます。
プロットの段階で結末が決まりません。
いくつか結末の候補を書き出し、主人公が一番大きく変わるものを選んでみてください。結末が決まると、そこに向かう場面を逆算できます。
プロットはパソコンと手書き、どちらで書くのがいいですか?
どちらでもかまいません。場面の順番をよく入れ替えるなら、付箋やカードに手書きして並べるやり方が便利です。清書や人に見せる時は、パソコンでまとめておくと読みやすくなります。
まとめ
- プロットの書き方は、ログライン、あらすじ、ハコ書き、脚本の順に細かくしていく
- 段階ごとに「ここで決めること」と「まだ決めないこと」を分ける
- ハコ書きは1箱1出来事で、主人公の気持ちの動きを一言添える
- 7割決まったら脚本に進み、書きながら直してよい





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