当サイトの記事は編集部が業界団体・公的機関の公式サイトなどの公開情報を調べて独自に執筆しています。記事内に講座・スクールへの案内を含みます。
脚本を書いていて、真ん中あたりで話がだれてしまう、山場がどこか分からなくなる、と悩んでいませんか。
結論から言うと、脚本の構成は「三幕構成」か「起承転結」のどちらかの型に当てはめてみると、ぐっと組み立てやすくなります。2つは対立するものではなく、同じ物語を別の切り方で見ているだけなんです。
ここでは、同じ物語を両方の型に当てはめながら、使い分け方と見直し方をお話しします。
脚本の構成とは?
脚本の構成とは、場面をどの順番に並べ、どこに山場を置くかという物語の組み立てのことです。セリフが上手でも、構成が崩れていると物語は伝わりにくくなります。
脚本は、セリフと、場面や人物の動きを書くト書きでできています。その場面を、どの順番で、どのくらいの長さで並べるかを決めるのが構成です。
『構成って、プロットと何が違うの?』と思う方もいますよね。プロットは物語の流れを書いた設計図で、構成はその設計図の「組み立て方の型」と考えると分かりやすいです。
| 言葉 | 意味 | たとえると |
|---|---|---|
| 構成 | 場面の並べ方と山場の置き方 | 家の間取りの考え方 |
| プロット | 物語の流れを短くまとめた設計図 | 間取り図 |
| ハコ書き | 場面ごとに箱に並べた設計図 | 部屋ごとの配置図 |
| 脚本 | 柱・ト書き・セリフで書いた本文 | 建てた家 |
プロットやハコ書きの作り方はプロット・ハコ書きの書き方で詳しく紹介しています。脚本家の仕事全体は脚本家とは?仕事内容と役割で見られます。
構成が崩れるとどうなる?
構成が崩れた脚本には、よく似た症状が出ます。自分の脚本に当てはまるものがないか、見てみてください。
- 前半の説明が長く、物語がなかなか動き出さない
- 真ん中で同じような場面が続き、話が進まない
- 山場が早く来すぎて、後半が消化試合になる
- 結末が急で、主人公が変わった理由が伝わらない
どれも、構成の型に当てはめて見直すと直しやすくなります。
三幕構成と起承転結の違いは?
三幕構成は、物語を「設定・対立・解決」の3つに分け、転機で幕を切り替える型です。起承転結は、物語を4つに分け、3つ目の「転」で大きく展開を変える型です。
三幕構成とは
三幕構成は、物語を第一幕・第二幕・第三幕の3つに分けて考える型です。映画の脚本でよく使われる考え方として知られています。
| 幕 | 役割 | ここで起きること |
|---|---|---|
| 第一幕(設定) | 主人公と世界を見せる | 日常が描かれ、物語を動かす出来事が起きる |
| 第二幕(対立) | 主人公が壁とぶつかる | 目的に向かうが、うまくいかない場面が続く |
| 第三幕(解決) | 決着をつける | 山場で壁と向き合い、主人公が変わる |
幕と幕の間には、物語の向きが変わる転機を置きます。第二幕が一番長くなるのが一般的です。
起承転結とは
起承転結は、物語を「起・承・転・結」の4つに分けて考える型です。日本では文章や漫画の組み立て方としてもよく知られています。
| 段 | 役割 | ここで起きること |
|---|---|---|
| 起 | 始まり | 主人公と状況を見せる |
| 承 | 話を進める | 起で始まった出来事が広がる |
| 転 | 大きく展開を変える | 予想していなかった出来事が起きる |
| 結 | 締めくくる | 転を受けて、物語に決着がつく |
2つの型を比べると
- 主人公が目的に向かって進む物語
- 対立や葛藤をじっくり描きたい長い作品
- 幕の切り替えで山場を作りたい時
- 短い作品や、1話完結の話
- 意外な展開で印象を残したい物語
- 4つの区切りで全体をざっくりつかみたい時
どちらが正しいということはありません。物語の性質や長さに合わせて、考えやすい方を選べば大丈夫です。
同じ物語を2つの型に当てはめると?
同じ物語でも、三幕構成と起承転結のどちらにも当てはめられます。対応表を作ってみると、2つの型がどこで重なり、どこで違うのかがよく分かります。
ここでは「地方の商店街で、閉店が決まった古い写真館を、店主の孫が継ぐかどうか迷う」という架空の家族ドラマを例にします。
| 物語の出来事 | 三幕構成 | 起承転結 |
|---|---|---|
| 孫が久しぶりに商店街へ帰り、写真館の閉店を知る | 第一幕(設定) | 起 |
| 祖父に「店を継がないか」と頼まれ、断る | 第一幕の終わりの転機 | 起の終わり |
| 店を手伝いながら、常連客の古い写真を整理する | 第二幕(対立) | 承 |
| 都会の仕事との間で迷い、祖父と言い争う | 第二幕(対立) | 承 |
| 祖父が、孫に負担をかけまいと閉店の準備を一人で進めていたと知る | 第二幕の終わりの転機 | 転 |
| 商店街の最後の記念写真を、孫が撮ることになる | 第三幕(解決) | 転から結 |
| 孫は写真館を継ぐと決め、新しい看板を掛ける | 第三幕(解決) | 結 |

表を見ると、三幕構成の第二幕が、起承転結の「承」とほぼ重なっているのが分かります。そして、第二幕の終わりの転機が「転」にあたるんです。
使い分けの考え方
全体をざっくりつかむ時は起承転結、場面を細かく並べる時は三幕構成、と使い分ける方法もあります。
例えば、あらすじを考える段階では起承転結の4つで流れを決めます。ハコ書きに進んだら、三幕構成で「第二幕にどの場面を置くか」を詰めていく、という形です。
短い場面なら起承転結で十分
5分程度の短い脚本なら、起承転結の4つに当てはめるだけで形になります。例えば「引っ越し前日、空っぽの部屋で兄弟が最後の夕飯を食べる」という場面なら、こうなります。
| 段 | 起きること |
|---|---|
| 起 | 段ボールだらけの部屋で、兄弟がコンビニの弁当を広げる |
| 承 | 昔の話をするうちに、弟が引っ越しに反対していたと分かる |
| 転 | 兄が、実は自分も行きたくなかったと打ち明ける |
| 結 | 2人で部屋の柱に背比べの線を最後にもう一本引く |
4つの段に1つずつ出来事を置くだけで、短くても気持ちの動きがある場面になります。初めて書く方は、この大きさから試してみてください。
上の例の「祖父が一人で閉店の準備を進めていた」という出来事は、主人公の思い込みをひっくり返す転機の作り方の一例です。転機は、主人公の気持ちが大きく動く出来事にすると効果的です。
山場と転機はどこに置く?
山場は、物語の終わり近くに置くのが基本です。そこに向かって、転機ごとに主人公の状況が少しずつ苦しくなるように並べると、観客の気持ちが離れにくくなります。
『山場を早めに見せたほうが、見る人を引きつけられるのでは?』と考える方もいるかもしれません。ただ、一番大きな山場が早く来ると、そのあとの場面が弱く見えてしまうんです。
長さごとの目安
構成の考え方は、作品の長さによって少し変わります。目安を表にしてみました。
| 作品の長さ | 構成の考え方の目安 |
|---|---|
| 5分程度の短い場面 | 起承転結の4つで十分 |
| 45分のテレビドラマ | 三幕構成で、第二幕の転機を1つはっきり置く |
| 劇場用映画 | 三幕構成で、第二幕の中にも小さな転機を複数置く |
| 連続ドラマ | 1話ごとの構成と、シリーズ全体の構成を両方考える |
連続ドラマやアニメのシリーズでは、1話ごとの山場と、シリーズ全体の山場の両方を考えます。
伏線は構成と一緒に管理する
伏線は、後の場面で意味が分かるように、先に置いておく小さな出来事やセリフです。構成を考える時に、伏線をどこに置き、どこで回収するかも一緒に決めておくと安心です。
| 伏線 | 置く場面 | 回収する場面 |
|---|---|---|
| 祖父が古いカメラを毎朝磨いている | 第一幕 | 第三幕で孫がそのカメラで記念写真を撮る |
| 常連客の写真の中に、孫が小さい頃の写真がある | 第二幕 | 第三幕で孫が店を継ぐ決め手になる |
こうした表を作っておくと、書き進めるうちに伏線を置き忘れたり、回収し忘れたりするのを防げます。
転機はセリフ1つでも作れる
転機というと大事件を思い浮かべがちですが、セリフ1つで物語の向きが変わることもあります。例えば、写真館の例ならこんなやり取りです。
「もういいんだよ。店は、わしの代で終わりにするつもりだった」
「…じゃあ、なんで毎朝カメラを磨いてたの」
祖父の一言で、孫は「継いでほしいと言われている」という思い込みが崩れます。この気持ちの揺れが、第三幕へ進むきっかけになるんです。
脚本の構成についてよくある相談
よく見られるのは「アニメの構成と脚本はどう違う?」「ドラマの途中の恋愛の場面は構成上必要?」「伏線はどうやって管理する?」という相談です。
相談1:アニメの「構成」と「脚本」って何が違う?
『アニメのスタッフ表で、構成と脚本の担当が別の人になっているのはなぜ?』という相談は、とても多く見られます。
シリーズのアニメでは、全体の流れを設計する「シリーズ構成」と、各話の脚本を書く人が分かれていることがあります。シリーズ構成は、どの話で何が起きるかを決め、各話の脚本家はその流れに沿って1話分を書く、という分担です。
シリーズ構成が自分で脚本を書く話数もあります。詳しくはアニメの脚本家になるにはで紹介しています。
相談2:ドラマの途中の恋愛の場面は、構成上必要なの?
『物語の本筋と関係なさそうな恋愛の場面が入るのは、構成上必要なの?』という相談もあります。
こうした場面は、主人公の別の顔を見せたり、本筋の緊張をいったん緩めたりする役割を持つことがあります。三幕構成で言えば、第二幕の長い対立の中に、気持ちを動かす別の線を走らせる形です。
ただ、本筋とつながらないまま終わると、見る人には余計に感じられます。脇の線も、最後は本筋の決着に関わるように組むのが理想です。
相談3:伏線や構成のメモはどう管理すればいい?
『伏線や構成は、みんなどうやって管理しているの?普通にパソコンのメモ?』という相談も見かけます。
管理の方法は人それぞれで、パソコンのメモでも紙のカードでもかまいません。大事なのは、伏線の「置く場面」と「回収する場面」をセットで書いておくことです。
上の伏線の表のように、2列で並べておくだけでも、置き忘れはかなり減ります。
書いた脚本の構成を見直すには?
書き上げた脚本は、場面を1行ずつ書き出して並べると、構成の崩れが見つけやすくなります。型に当てはめて、空いている所や重なっている所がないかを確かめてみてください。
- 書いた脚本の柱を順番に書き出し、場面ごとに起きることを1行で添える
- 三幕構成か起承転結のどちらかに当てはめて、区切りの線を引く
- 転機と山場がどの場面にあるかに印を付ける
- 同じ役割の場面が続いている所は、まとめられないか考える
- 伏線の表を見て、置き忘れや回収し忘れがないか確かめる
- 物語を動かす出来事が、前半の早いうちに起きている
- 第二幕(承)で、主人公の状況が少しずつ苦しくなっている
- 一番大きな山場が、終わり近くにある
- 結末で、主人公が始まりと比べて変わっている

型に合わせることが目的になり、物語が窮屈になってしまうことがあります。型は見直しの道具なので、合わない所があれば、物語の気持ちの流れを優先して大丈夫です。
構成の考え方は、脚本術の本でもいろいろな型が紹介されています。目的別の本の選び方は脚本家になるための本の選び方で紹介しています。
ただ、自分の脚本の構成がうまくいっているかは、書いた本人ほど判断しにくいものです。
独学で行き詰まったら、プロの添削を受けられる講座を比べてみると、次の一歩が見えやすくなります。
シナリオ講座の案内
脚本を基礎から学ぶなら、プロの添削を受けられる講座を見てみませんか
日本シナリオ作家協会のシナリオ講座は、基礎科と研修科の2段階。教室クラスとリモートクラスがあり、映画やテレビドラマの現場で活躍する現役脚本家が作品指導をすると案内しています。
無料シナリオ講座の詳細を見る受講料・開講日程・募集状況は公式サイトでご確認ください。
映画脚本ならではの組み立て方は映画の脚本家の仕事でも紹介しています。
よくある質問
三幕構成と起承転結、初心者はどちらから使えばいいですか?
短い作品なら起承転結から始めると考えやすいです。45分程度以上の長さになってきたら、三幕構成で第二幕の転機を意識してみてください。
構成を決めてから書くべきですか?
大まかな流れを決めてから書くと、途中で迷いにくくなります。細かい部分は、書きながら直していってもかまいません。
起承転結の「転」は、どれくらい大きな出来事にすればいいですか?
主人公の気持ちや目的が大きく変わるくらいの出来事が目安です。小さな出来事でも、主人公にとって大きな意味があれば転になります。
構成の型どおりに書くと、ありきたりな話になりませんか?
型は骨組みなので、中身の出来事や人物で個性は十分に出せます。型に当てはめたうえで、転機の出来事を意外なものにする工夫をしてみてください。
構成を練習するいい方法はありますか?
好きなドラマや映画を見たあとに、場面を1行ずつ書き出して三幕構成に当てはめてみるのがおすすめです。自分のノートの中だけで行う練習なら、他の作品の組み立て方から学べることがたくさんあります。
まとめ
- 脚本の構成とは、場面の並べ方と山場の置き方のこと
- 三幕構成は設定・対立・解決の3つ、起承転結は4つに分けて考える型
- 同じ物語は両方の型に当てはめられ、第二幕の終わりの転機が「転」にあたる
- 山場は終わり近くに置き、伏線は置く場面と回収する場面をセットで管理する





コメント