シナリオコンクールの選び方|脚本家デビューの入口

シナリオコンクールの選び方を表すアイキャッチ。机に置かれた応募原稿と封筒

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脚本を何本か書けるようになって、『そろそろシナリオコンクールに出してみたい。でも、どれを選べばいいの?』と迷っている方も多いはずです。

結論から言うと、シナリオコンクールは「どの分野で書きたいか」と「規定(枚数・書式・応募の条件)」の2つで選ぶと、自分に合うものが絞りやすくなります。

この記事では、主なコンクールを分野と規定で比べる早見表と、応募前に確かめること、締め切りから逆算した書き方の計画を紹介します。

目次

シナリオコンクールが脚本家デビューの入口になる理由

先に結論

シナリオコンクールは、まだ実績のない人でも、書いた脚本だけで読んでもらえる数少ない場です。入賞作が制作・放送されると案内しているコンクールもあります。

脚本家になるための必須の資格はありません。

そのぶん、「この人はどんな脚本を書けるのか」を示すのは、書き上げた作品そのものなんです。

コンクールは、その作品を業界の人に読んでもらうための入口になります。

脚本家になるまでの道のり全体は、脚本家とは?仕事内容と役割をわかりやすく解説 でも紹介しています。

応募すること自体にも意味がある

『どうせ入賞できないなら、出しても意味がないのでは?』と思う方もいますよね。

実は、応募には入賞以外にも得られるものがあります。

応募で得られること中身
締め切り書き切る日付が外から決まる
決まった長さで書く経験規定の枚数に収める力がつく
書式に合わせる経験原稿の整え方が身につく
書いた本数が増える応募作が自分の作品の蓄えになる

結果にかかわらず、規定の枚数で1本書き切った経験は、次の作品に生きてきますよ。

入賞すると、どうつながる?

コンクールによっては、入賞作が実際に作品になることがあります。

例えば、創作テレビドラマ大賞では、大賞作品がNHKで制作・放送されると案内されています。

自分の書いた脚本が映像になる過程に関われるのは、何よりの経験ですよね。

入賞のあとについて

入賞後の扱いはコンクールごとに違います。制作や放送の有無、その後の流れは、各コンクールの募集要項や公式サイトで確かめてください。

分野と規定で選ぶシナリオコンクール早見表

ここがこの記事でいちばん伝えたいところです。

コンクールは、名前の知られ方よりも「自分が書きたい分野」と「規定」で選ぶと迷いにくくなります。

早見表の見方

規定は回ごとに変わります。下の表は、各コンクールの過去の募集要項で案内された内容の一例です。応募前に、公式サイトで最新の募集要項を確認してください。

コンクール分野主催規定の例生成AIの扱い
創作テレビドラマ大賞テレビドラマ日本放送作家協会・NHK第50回は放送時間45分の未発表オリジナル、1人1作品、公式サイトのフォームから応募生成AIで執筆した脚本は不可
創作ラジオドラマ大賞ラジオドラマ日本放送作家協会・NHK第54回は放送時間50分、20字×20行を1枚として50〜55枚、A4横・縦書き生成AIを使った脚本は対象外
城戸賞劇場用映画日本映画製作者連盟第52回はA4横・20字×40行の縦書きで50枚以上60枚以内、単独執筆・1人1篇生成AIで執筆した脚本は対象外
フジテレビ ヤングシナリオ大賞テレビドラマフジテレビ20字×20行を1枚として50〜60枚、自称35歳以下が対象の回がある最新の募集要項で確認
シナリオコンクールをテレビドラマ・映画・ラジオの分野と枚数・書式・生成AIの扱いなどの規定で比べた早見表の図解

ほかにも、テレビ局や映画祭、自治体などが主催する脚本の公募があります。

まずは書きたい分野を決めて、その分野のコンクールから募集要項を読み比べてみてください。

分野ごとに気をつけたいこと

同じシナリオコンクールでも、分野によって求められるものが違います。

分野気をつけたいことくわしい記事
テレビドラマ放送時間に合わせた場面の配分ドラマの脚本家になるには
映画劇場で見せる長さを最後まで引っ張る構成映画の脚本家になるには
ラジオドラマ音とセリフだけで場面を伝える工夫ラジオドラマの脚本家

例えば、創作テレビドラマ大賞の第50回の募集要項では、海外ロケが必要な作品や時代劇は対象外とされていました。

城戸賞は、原作の脚色は不可で、全国公開の劇場用映画の執筆経験が2本以上ある人は対象外とされています。

こうした条件は、書き始める前に知っておかないと、書き上げてから出せないことに気づく、ということにもなりかねません。

ドラマを目指すなら ドラマの脚本家になるには?コンクールから連ドラまでの道、映画なら 映画の脚本家になるには?映画脚本コンクールなどの入口、ラジオなら ラジオドラマの脚本家|音だけで伝える書き方と公募 もあわせて読んでみてください。

1枚の字数が違うと、書ける量も変わる

早見表を見ると、「20字×20行」と「20字×40行」の2つの数え方があることに気づきますよね。

ここは見落としやすいところなので、少しくわしく見ておきます。

1枚の数え方1枚の字数50枚で書ける字数の目安
20字×20行400字分のマス2万字分のマス
20字×40行800字分のマス4万字分のマス

同じ「50枚」でも、1枚の行数が倍になれば、書ける分量もおよそ倍になります。

ただ、脚本は柱やセリフで改行が多いので、マスがすべて埋まるわけではありません。

『ほかのコンクールに出した原稿の枚数をそのまま当てはめていいのかな』と思った時は、まず1枚の字数と行数をそろえてから数え直してみてください。

多くのコンクールに共通する条件

最近のシナリオコンクールには、共通して見られる条件がいくつかあります。

よく見られる応募の条件
  • 未発表の作品であること
  • オリジナルの作品であること(原作の脚色を認めない公募もある)
  • 1人1作品まで
  • 同じ作品をほかの公募に同時に出す多重投稿は禁止
  • 生成AIを使って執筆した脚本は対象外

特に生成AIの扱いは、主要なコンクールで「対象外」と明記する例が出てきています。

応募作は、自分の手で書いた脚本で出しましょう。

自分に合うシナリオコンクールを選ぶ手順

早見表を見ても迷う時は、次の順番で絞り込んでみてください。

コンクールの選び方
  1. 書きたい分野(テレビドラマ・映画・ラジオなど)を1つ決める
  2. その分野のコンクールの募集要項を、公式サイトで読む
  3. 応募資格(年齢・経験など)に自分が当てはまるか確かめる
  4. 締め切り日から逆算して、書く時間が取れるものを選ぶ
  5. 枚数と書式を確かめ、その形で書き始める

『まだ分野が決められない』という方もいるかもしれません。

その場合は、今いちばん書きたい話がどの形に向いているかで考えるのがおすすめです。

書きたい話の特徴向きやすい分野
家族や職場など、身近な人間関係の話テレビドラマ
映像で見せたい大きな出来事や景色がある話映画
会話や音で想像をふくらませたい話ラジオドラマ

例えば、地方の商店街を舞台にした家族の話なら、テレビドラマの形に向いています。

一方で、夜の港で波の音と二人の会話だけが続く話なら、ラジオドラマのほうが生きるかもしれません。

初めて応募する時に意識したいこと

初めての応募では、入賞を狙うより「規定どおりに書き切って出す」ことを目標にするのがおすすめです。

初めての応募で意識したいこと
  • 書きたい話より、規定の長さに収まる話を選ぶ
  • 登場人物を増やしすぎない
  • 場所の数を絞り、1つ1つの場面をしっかり書く
  • 締め切りの2週間前には書き終える予定を立てる

例えば、45分のテレビドラマなら、主な人物を3〜4人に絞ると、それぞれの気持ちを書き込みやすくなります。

人物や場所が多すぎると、規定の枚数の中で一人ひとりを描き切れなくなりやすいんです。

応募資格で見落としやすいところ

応募資格は、年齢だけでなく、経験について条件があることもあります。

見落としやすい条件

年齢の上限がある回や、劇場用映画の執筆経験が一定以上ある人を対象外とするコンクールがあります。書き始める前に、応募資格の欄を読んでおきましょう。

応募前に確かめる規定と原稿の整え方

先に結論

どんなに良い脚本でも、規定に合っていないと読んでもらえないことがあります。枚数・書式・添える書類の3つは、書き始める前と送る前の2回確かめておくと安心です。

規定は、コンクールごとにかなり細かく決められています。

『書き方は自由だと思っていた』という方は、一度募集要項を最初から最後まで読んでみてください。

よく求められる原稿のセット

多くのコンクールでは、脚本の本文だけでなく、いくつかの書類を添えるよう求めています。

書類中身案内の例
表紙作品のタイトルなど創作ラジオドラマ大賞の第54回では表紙・梗概・登場人物表・本文の構成
梗概(あらすじ)物語の流れを短くまとめたもの創作ラジオドラマ大賞の第54回では800字以内
登場人物表人物の名前と簡単な説明本文の前に付ける形が多い
本文脚本そのもの1枚の字数と行数、縦書きかを指定されることが多い

フジテレビ ヤングシナリオ大賞では、あらすじを応募フォームに記入する形が案内された回もあります。

添える書類の形はコンクールごとに違うので、最新の募集要項に合わせて用意しましょう。

梗概(あらすじ)の書き方

梗概は、審査をする人が最初に目を通すことも多い大事な書類です。

『本文さえ良ければ、あらすじは簡単でいいのでは?』と思いがちですが、ここで物語の魅力が伝わるかどうかは大きいんです。

梗概を書く手順
  1. 主人公が誰で、何を望んでいるかを1文で書く
  2. 主人公の前に立ちはだかる出来事を書く
  3. 物語の山場で何が起きるかを書く
  4. 結末まで書き切る(途中で止めない)
  5. 指定の字数に収まるよう、形容詞や説明を削る

梗概では、結末まで書くのが一般的です。

「続きは本文で」のように途中で止めると、物語の全体が伝わりません。

例えば、離島の診療所を舞台にした話なら、「島に来たばかりの若い医師が、心を開かない老人たちと向き合い、最後にどうなるか」までを書きます。

タイトルは中身が想像できるものに

タイトルも、読む人が最初に目にする部分です。

物語の舞台や主人公の状況が少し想像できるタイトルだと、読む前から興味を持ってもらいやすくなります。

例えば、「港町の物語」より「汽笛が三回鳴る朝に」のように、場面が浮かぶ言葉を選んでみてください。

書式は「1枚の字数×行数」を先に設定する

コンクールでは、原稿の大きさと1枚の字数・行数が指定されることが多いです。

例えば、20字×20行を1枚と数えるものと、20字×40行の縦書きを指定するものでは、同じ枚数でも中身の量が変わります。

書き始める前に、文書ソフトの設定を規定に合わせておくと、あとで枚数が合わなくなる心配が減ります。

城戸賞のように、推奨フォーマットを公式サイトで配布しているコンクールもありますよ。

送る前の最終チェック
  • 枚数が規定の範囲に入っている
  • 1枚の字数と行数、縦書きか横書きかが規定どおり
  • 表紙・梗概・登場人物表など添える書類がそろっている
  • 応募方法(フォーム・郵送など)を確かめている
  • 締め切りの日付と、消印かデータの到着かを確かめている

応募前に誰かに読んでもらう

応募作は、送る前に一度、人に読んでもらうのがおすすめです。

自分では分かっているつもりの人物の気持ちや話のつながりが、読む人には伝わっていないことがよくあるんです。

家族や友人に読んでもらう時は、「どこで読むのをやめたくなった?」と聞くと、直しどころが見つかりやすくなります。

それでも直しどころが見えない時は、脚本を読み慣れた人の添削が役に立ちます。

応募作を見てもらいたい時は、プロの添削を受けられる講座を比べてみると、次の一歩が見えやすくなりますよ。

シナリオ講座の案内

脚本を基礎から学ぶなら、プロの添削を受けられる講座を見てみませんか

日本シナリオ作家協会のシナリオ講座は、基礎科と研修科の2段階。教室クラスとリモートクラスがあり、映画やテレビドラマの現場で活躍する現役脚本家が作品指導をすると案内しています。

無料シナリオ講座の詳細を見る

受講料・開講日程・募集状況は公式サイトでご確認ください。

原稿の書き方そのものは、脚本の書き方の基本|脚本家が使う柱・ト書き・セリフのルール で紹介しています。

締め切りから逆算した書き方の計画

先に結論

シナリオコンクールに出す脚本は、締め切りから逆算して「構想・プロット・初稿・直し・清書」の5段階に分けて計画すると書き切りやすくなります。

コンクールの締め切りは、気づくとすぐにやってきます。

『あと1か月あるから大丈夫』と思っていたら、初稿を書き終えたところで締め切りが来た、ということも少なくありません。

段階やること期間の目安
構想書きたい話と分野を決め、募集要項を読む全体の1割
プロット物語の流れと場面の並びを決める全体の2割
初稿規定の書式で最後まで書く全体の4割
直し読み返し、人に読んでもらって直す全体の2割
清書書式と添える書類を整える全体の1割

例えば、締め切りまで3か月あるなら、初稿にはおよそ5週間ほど使えます。

シナリオコンクールの締め切りから逆算して構想・プロット・初稿・直し・清書の5段階で書く計画の図解

直しの段階でやること

計画表の中で、いちばん削られやすいのが「直し」の期間です。

初稿を書き終えた安心感で、そのまま清書に進んでしまう人も多いんです。

直しの段階で見るところ
  • 冒頭の数枚で、主人公と物語の向かう先が分かるか
  • 場面が変わるたびに柱を立て、場所と時間がそろっているか
  • ト書きに気持ちの説明を書きすぎていないか
  • 相手が知っていることをセリフで説明していないか
  • 結末が、冒頭で主人公が望んでいたことと結びついているか

1回の見直しで全部を見ようとせず、1回目は話の流れ、2回目はセリフ、というように見る所を分けると直しやすいです。

平日1時間しか取れない場合

会社員や学生で、平日は1時間ほどしか取れない場合は、こんな進め方が続けやすいです。

平日1時間で書く進め方
  1. 平日は1日1場面を目標に、初稿を書き進める
  2. 書けなかった日の分は、週末にまとめて取り戻す
  3. 初稿が書き終わったら、2〜3日は読まずに置く
  4. 週末に通して読み返し、直す場面に印をつける
  5. 締め切りの1週間前には清書に入る

締め切り直前は、思った以上に書類の準備や見直しに時間がかかります。

清書の時間は多めに取っておきましょう。

1年で2〜3本を応募する計画の例

シナリオコンクールは、主催ごとに締め切りの時期がばらけています。

1つの作品を書き終えたら、次のコンクールに向けて書き始めると、1年で何本も書き切る経験が積めます。

時期やること
1本目の締め切りまで1本目を書き切って応募する
応募後の数週間書いた作品を読み返し、反省点をメモする
2本目の締め切りまで反省点を意識して2本目を書く
結果が出たら入賞・落選にかかわらず、次の作品の材料にする

結果を待つ間に次を書き始めるのが、続けるコツですよ。

知恵袋でよくある相談に答えます

シナリオコンクールについては、知恵袋にも相談がたくさん寄せられています。

よく読まれていた相談を要約してお答えしますね。

1時間の作品だと、どれくらいの量を書けばいい?

「映画のシナリオ60分ぶんは何文字くらいか、コンクールに出したい」という相談が、とてもよく読まれていました。

脚本の長さは、200字詰めを1枚と数える「ペラ」で量ることが多いです。

どのくらいの枚数で何分になるかは、セリフの多さや場面の作り方でも変わります。

例えば、創作ラジオドラマ大賞の第54回では、放送時間50分に対して20字×20行で50〜55枚と案内されていました。

実際に応募する時は、募集要項に書かれた枚数の指定に合わせて書きましょう。

コンクールに出す脚本は、何日くらいで書くもの?

「ドラマのシナリオコンクールに出す脚本を書くのに、平均でどれくらいの日数がかかるか」という相談もありました。

結論から言うと、決まった日数はありません。

書く人の生活や作品の長さで大きく変わるので、日数より「締め切りから逆算した計画」を先に立てるのがおすすめです。

上で紹介した5段階の計画表を使うと、自分に必要な日数の見当がつけやすくなりますよ。

原稿は手書きで送ったほうがいい?

「シナリオコンクールに応募したいが、原稿用紙に手書きで送ったほうがいいのか」という相談もありました。

応募の方法はコンクールによって違います。

公式サイトのフォームから応募する形や、推奨フォーマットを配布している形もあるので、まずは募集要項の応募方法を確かめてください。

手書きかパソコンかで評価が変わるかは、募集要項に書かれていることだけを手がかりにしましょう。

迷った時の確かめ方

規定で分からないことがある時は、募集要項のよくある質問や、問い合わせ先の案内を確かめるのが確実です。

よくある質問

初めてでもシナリオコンクールに応募できますか?

多くのコンクールは、性別や職業を問わず応募できます。ただ、年齢や経験について条件がある回もあるので、応募資格の欄を確認しましょう。

同じ脚本をいくつかのコンクールに出してもいいですか?

多重投稿を禁止しているコンクールが多いです。同じ作品を同時にほかの公募に出さないよう、募集要項の条件を確かめてください。

生成AIを使って書いた脚本は応募できますか?

主要なコンクールで、生成AIを使って執筆した脚本は対象外と明記する例があります。応募作は自分の手で書いて出しましょう。

落選した脚本はどうすればいいですか?

直して別の作品に生かしたり、次に書く作品の材料にしたりできます。ほかのコンクールに出す時は、未発表などの条件に当てはまるかを募集要項で確かめましょう。

規定の枚数より少なくてもいいですか?

枚数に範囲が決められている場合は、その範囲に収めるのが基本です。下限がある場合は、下回らないように書きましょう。

まとめ

この記事の要点
  • シナリオコンクールは、実績がなくても書いた脚本で読んでもらえる入口
  • 書きたい分野と、枚数・書式・応募資格・生成AIの扱いなどの規定で選ぶ
  • 規定は回ごとに変わるので、応募前に最新の募集要項を確認する
  • 表紙・梗概・登場人物表など、添える書類もそろえる
  • 締め切りから逆算し、構想から清書までの5段階で計画する
脚本家ガイド

脚本家ガイド 編集部

脚本家の仕事内容、ドラマ・映画・アニメ・舞台・ラジオの脚本家になる方法、脚本の書き方やコンクール、学び方までを整理している脚本家の情報サイトです。 公式サイト

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