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舞台を見終わったあと、あの物語を書いた人はどんな風に仕事をしているんだろう、と気になったことはありませんか。演劇部で台本を書いてみて、舞台脚本家という道に興味を持った方もいるはずです。
結論から言うと、舞台の脚本家は「生の舞台で、限られた空間と時間の中で物語を見せる設計図を書く人」です。劇作家とも呼ばれ、劇団に属して書く人もいれば、依頼を受けて書く人、自分で上演する人もいます。
この記事では、舞台の脚本家の仕事と関わり方、そして舞台脚本家になるには何から始めればいいかをお話しします。
舞台の脚本家(劇作家)はどんな仕事?
舞台の脚本家は、演劇の台本(戯曲)を書く仕事です。書いた台本をもとに、演出家や俳優、スタッフが稽古を重ねて舞台を作り上げます。
脚本は、セリフと「ト書き」でできています。ト書きは、場面の状況や人物の動きを書いた部分のことです。
舞台の脚本家は、このセリフとト書きで、観客の目の前で起きる出来事を書きます。演劇の世界では、脚本を「戯曲」、脚本家を「劇作家」と呼ぶことも多いです。
『舞台の脚本家と演劇の脚本家は違うの?』と思う方もいるかもしれません。呼び方が違うだけで、どちらも舞台で上演するための脚本を書く人のことなんです。
| 呼び方 | よく使われる場面 | 意味 |
|---|---|---|
| 舞台脚本家 | 舞台作品全般 | 舞台の脚本を書く人 |
| 演劇の脚本家 | 演劇の話題全般 | 舞台脚本家とほぼ同じ |
| 劇作家 | 演劇の世界 | 戯曲を書く人 |
| 座付き作家 | 劇団の中 | 特定の劇団のために書き続ける人 |
脚本家と演出家は何が違う?
舞台には、脚本家のほかに「演出家」がいます。脚本家が物語を書き、演出家がその脚本をどう舞台に立ち上げるかを決めるのが基本の分担です。
演出家は、俳優の動きや間、照明や音の使い方などを決めて、稽古場で作品をまとめていきます。舞台では、脚本家が演出も兼ねることがよくあります。
脚本家と演出家の役割分担は、舞台とテレビで少し違います。詳しくは脚本家と演出家の違いで比べています。
新作を書く仕事と、上演台本を作る仕事
舞台の脚本家の仕事には、オリジナルの新作を書くものと、小説や漫画などを舞台用に書き直すものがあります。
原作を舞台にする時は、長い物語を上演時間に収め、舞台で見せられる場面に組み直すことになります。どちらの場合も、稽古が始まってから直しが入ることは珍しくありません。
映像の脚本と舞台の脚本はここが違う
舞台は、観客が同じ空間で、同じ時間を一緒に過ごすものです。カメラで寄ることも、場面を自由に切り替えることもできないので、書き方が映像とはかなり変わります。
同じ脚本でも、舞台と映像では気をつけるところが違います。主な違いを表にまとめてみました。
| 観点 | 舞台の脚本 | 映画・ドラマの脚本 |
|---|---|---|
| 場所 | 同じ舞台の上で場面を作る | ロケ地やセットを自由に切り替えられる |
| 場面転換 | 暗転や照明で変えるため、数を絞りやすい | カット一つで次の場面へ移れる |
| 見せ方 | 俳優の全身と声で見せる | 表情の寄りや小道具の大写しで見せられる |
| セリフ | 客席の後ろまで届く言葉が大事 | 小さなつぶやきも拾える |
| 毎回の上演 | 公演ごとに少しずつ違う | 撮った映像はいつも同じ |
| 観客の反応 | 笑いや拍手がその場で返ってくる | 撮影時には観客がいない |
場面を変えるのが難しいからこその工夫
映画なら、駅から家へ、家から職場へと場面をすぐ移せます。舞台ではそうはいきません。
そのため、舞台の脚本では「一つの場所で、いろいろな人が出入りする」形がよく使われます。たとえば「古い下宿屋の居間」を舞台にすれば、住人や客が入れ替わるだけで物語が動きます。
場面を増やしすぎると、暗転のたびに物語の流れが止まってしまいます。『この場面、居間の中で起こせないかな』と考えるのが、舞台らしい脚本を書く第一歩です。
セリフは「生の声」で届く前提で
舞台のセリフは、俳優が客席に向けて生の声で届けます。耳で聞いて一度で分かることが大事です。
書いたセリフは声に出して読んでみてください。同じ音の言葉が続いて聞き分けにくい所や、息が続かない長いセリフに気づきやすくなります。
観客の反応も脚本の一部
舞台では、観客の笑いや息をのむ気配が、その場で俳優に返ってきます。笑いが起きる場面では、次のセリフまで少し間が空くこともあります。
だから舞台の脚本家は、「ここで客席が笑うはず」という場所を意識して書いておくと良いんです。笑いのあとにすぐ大事なセリフを置くと、聞き逃されることがあるからです。
映画のように細かい場面転換を何度も入れてしまうことです。舞台では転換のたびに観客の集中が切れやすくなります。場面の数を半分にできないか、一度見直してみてください。
舞台の脚本家の3つの関わり方
舞台の脚本家の関わり方は、大きく「劇団の座付き作家として書く」「外部から依頼を受けて書く」「自分で書いて自分で上演する」の3つに分けられます。どれか1つに決まっているわけではなく、時期によって行き来する人もいます。
演劇の脚本家がどう仕事をしているかは、この3つで比べるとイメージしやすくなります。
| 関わり方 | 書く作品 | 良いところ | 気をつけたいこと |
|---|---|---|---|
| 劇団の座付き作家 | 所属する劇団の公演 | 俳優の個性を知ったうえで書ける | 劇団の公演予定に合わせて書き続ける |
| 外部から依頼を受ける | 劇場や制作会社などの公演 | いろいろな座組や題材に挑戦できる | 依頼側の狙いや条件に合わせる |
| 自分で書いて上演する | 自分で企画した公演 | 書きたいものを自由に形にできる | 稽古場や劇場の手配、集客も自分で担う |

劇団の座付き作家として書く
座付き作家は、一つの劇団のために書き続ける脚本家です。どの俳優がどんな役を得意にしているかを知ったうえで書けるのが強みです。
「この俳優には、早口でまくし立てる役が合う」と分かっていれば、その人が一番輝く場面を最初から脚本に組み込めます。劇団の主宰者が脚本と演出を兼ねている例も多くあります。
外部から依頼を受けて書く
劇場や制作会社などから依頼を受けて、公演の脚本を書く関わり方です。原作のある作品を舞台用に書き直す仕事もあります。
依頼で書く時は、上演時間・出演者の人数・舞台の大きさといった条件が先に決まっていることが多いです。その条件の中で物語を一番面白く見せる工夫が求められます。
依頼を受けるきっかけは、自分の劇団の公演を見てもらったことや、これまでに書いた台本を読んでもらったことなどさまざまです。だからこそ、上演した作品や書き上げた台本を、人に見せられる形で残しておくことが大事になります。
自分で書いて自分で上演する
自分で台本を書き、仲間を集めて上演する関わり方です。小劇場での公演や、学生の演劇から始める人も多いです。
書いたものがすぐ舞台になり、観客の反応をその場で受け取れます。その一方で、稽古場や劇場の手配、宣伝までを自分たちで担うことになります。
- 同じ仲間と長く作品を作りたい
- いろいろな題材や座組に挑戦したい
- 書きたいものを自分の手で形にしたい
- 稽古場で俳優と一緒に作るのが好き
舞台の脚本家に向いている人
『自分は舞台の脚本家に向いているのかな』と気になる方もいますよね。才能より、次のような習慣のほうが続けるうえでは効いてきます。
| 習慣 | 舞台の脚本で役立つ場面 |
|---|---|
| 人の会話の間や言い回しをよく聞いている | 耳で聞いて自然なセリフが書ける |
| 舞台を見たあとに場面を思い返す | 出入りや転換の工夫が身につく |
| 稽古場で意見を聞いて直せる | 稽古中の書き直しに対応できる |
| 仲間と何かを作るのが好き | 劇団や上演の仲間と長く続けられる |
今の時点で全部そろっていなくても大丈夫です。書いて上演する回数が増えるほど、自然と身についていきます。
舞台の脚本の書き方のコツ
舞台の脚本は、「場所を絞る」「人物の出入りで物語を動かす」「客席に届く言葉で書く」の3つを意識すると、ぐっと舞台らしくなります。
日本の脚本は、「柱」「ト書き」「セリフ」で書くのが一般的です。舞台の脚本でも、場面の場所と時間を最初に示しておくと、読む人が状況をつかみやすくなります。
○ 古い下宿屋の居間(夜)
ちゃぶ台を囲んで、住人たちが黙って夕食をとっている。玄関の戸が開く音。
大家「おや、こんな時間にお客さんかい」
脚本の書式の基本は、脚本の書き方の基本で詳しく紹介しています。
人物の出入りで物語を動かす
一つの場所で物語を進める舞台では、人物が「入ってくる」「出ていく」ことが大きな出来事になります。
たとえば、家族が言い争っている最中に、何も知らない近所の人が入ってくる。それだけで場の空気が変わり、笑いや緊張が生まれますよね。
- 物語の舞台になる場所を一つ決める
- その場所に出入りする人物と、それぞれの目的を書き出す
- 誰がいつ入ってきて、いつ出ていくかを並べる
- 一番大きな出来事を、終盤の誰かの登場に置く
- 声に出して読み、上演時間に収まるか確かめる
小道具と音を味方にする
舞台ではカメラで寄れない分、小道具や音が気持ちを伝える役目を持ちます。ト書きに書く小道具は、客席からも見える大きさや動きを意識してみてください。
たとえば「主人公が、亡くなった祖母の手編みのマフラーを、黙って首に巻く」。セリフがなくても、客席には主人公の決意が伝わります。
電話の呼び出し音、雨の音、遠くの祭りばやし。音も、舞台の外の世界を観客に想像させる大事な道具です。
上演時間と出演者の人数を先に決める
舞台は、上演時間と出演者の人数が先に決まっていることがよくあります。演劇部の公演でも、部員の人数に合わせて書く必要がありますよね。
人数が決まっているなら、最初から全員に見せ場がある構成を考えておくと、稽古が始まってからの直しが少なくなります。
原稿は200字詰め(20字×20行)を1枚と数える「ペラ」で量ることが多いので、書いた枚数と読んだ時間を記録しておくと、長さの目安がつかめてきます。
演劇の脚本家についてよくある相談
演劇の脚本についての相談は、高校の演劇部など、実際に台本を書いたり選んだりしている人からのものが多く見られます。どれも、稽古場でのやり取りが鍵になる話です。
相談1:演劇部の公演用の台本選びに困っている
『高校の演劇部で、次の公演に使う台本が決まらない』という相談はとても多く見られます。
台本を選ぶ時は、部員の人数・上演時間・舞台の広さの3つを先に書き出してみてください。その条件に合う台本だけに絞ると、選びやすくなります。
既にある台本を上演する場合は、作者などに上演の許可を取る必要があることが多いです。条件が合う台本が見つからない時は、自分たちで書いてみるのも一つの方法です。
| 先に決めること | 書き出す内容の例 |
|---|---|
| 人数 | 出られる部員の人数と、裏方に回る人数 |
| 上演時間 | 大会や公演で決められている時間 |
| 舞台 | 使える舞台の広さと、用意できる道具 |
| やりたいこと | 笑わせたいのか、泣かせたいのか |
相談2:脚本と主役と演出を一人で兼ねるのはあり?
『演劇部で、脚本家と主役と演出を一人でやっている。どう思われる?』という相談もあります。
小さな劇団や部活では、一人が何役も兼ねることは珍しくありません。書いた本人が演じれば、セリフの意図を誰よりも分かっているという良さがあります。
ただ、自分が舞台に立っていると、全体の見え方を客席から確かめにくくなります。稽古の時だけでも、誰かに客席から見てもらう役を頼んでおくと安心です。
相談3:主役が先に決まっている台本はどう書く?
『演出の判断で、この子を主役にすると決まった。その子中心の物語をどう書けばいい?』という相談も見られます。
俳優が先に決まっているのは、舞台ではよくあることです。座付き作家と同じように、その俳優の得意な表情や声を思い浮かべながら書くと、役が生き生きしてきます。
その際、主役以外の人物にもそれぞれの目的を持たせておくのがコツです。主役だけが動く物語より、周りの人物とぶつかる物語のほうが、主役も引き立ちます。
相談4:役者として脚本に納得できない時は?
『役者として、どうしても脚本に納得できない場面がある。脚本家に文句を言ってもいいの?』という相談もあります。
結論から言うと、言い方と伝える相手が大事です。いきなり脚本家に直談判するより、まず演出家に「この場面の気持ちのつながりが分からない」と相談してみてください。
脚本家の側から見ても、俳優の疑問は脚本を良くするきっかけになります。「ここが嫌」より「ここの気持ちが分からない」と伝えるほうが、話し合いが前に進みやすくなります。
舞台脚本家になるには?今日から始められること
舞台脚本家になるための必須の資格はありません。短い台本を書き上げて上演してもらう、もしくは読んでもらう経験を重ねることが、何よりの近道です。
『舞台脚本家になるには、劇団に入るしかないの?』と思う方もいますよね。劇団に入るのは一つの道ですが、それだけではありません。
| 入口 | 進み方の例 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 劇団に入る | 劇団の公演に関わりながら台本を書く | 仲間と一緒に作りたい人 |
| 自分で上演する | 仲間を集めて短い作品を上演する | 早く舞台にしたい人 |
| 脚本を学ぶ | 講座やスクールで書く力をつける | 書き方を基礎から学びたい人 |
| 公募に出す | 戯曲や脚本の公募に応募する | 自分の作品で勝負したい人 |
戯曲を対象にした賞や公募もあります。主催や規定は回ごとに違うので、応募前に最新の募集要項を確認しておきましょう。
- 一つの場所で起きる、20分程度の短い台本の企画を考える
- 登場人物を3〜4人に絞り、それぞれの目的を書き出す
- 台本を最後まで書き上げる
- 仲間と声に出して読み合わせをする
- 読み合わせで引っかかった所を直し、もう一度読む

働きながら舞台の脚本を書くには
会社員や学生で、まとまった時間が取れない方も多いですよね。舞台の脚本は一つの場所で進むことが多いので、場面ごとに区切って書き進めやすいのが良いところです。
- 1週間に1場面書くと決める
- 平日は人物の目的や出入りのメモ、週末に台本と作業を分ける
- 書いた枚数と読んだ時間を記録する
- 読み合わせの日を先に決めて、締切にする
演劇を見に行けない時期は、戯曲を読むだけでも勉強になります。人物がいつ入ってきて、いつ出ていくかに印を付けながら読んでみてください。
既にある戯曲を読んで学ぶのも良い練習です。書き写して学ぶ場合は、自分の練習用にとどめて公開しないようにしてください。
書いた台本を見てもらう場を作る

読み合わせで仲間の感想をもらうのは、とても大事なことです。ただ、書式や構成の癖までは、身近な人からは指摘してもらいにくいものです。
独学で書き続けるのも立派な道です。それでも、どこを直せばいいか分からなくなる時期は、多くの人に訪れます。
独学で行き詰まったら、プロの添削を受けられるシナリオ講座を比べてみると、次の一歩が見えやすくなります。
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よくある質問
舞台の脚本家と劇作家は同じですか?
ほぼ同じ意味で使われます。演劇の世界では、舞台の脚本を戯曲、それを書く人を劇作家と呼ぶことが多いです。
舞台脚本家になるには劇団に入らないといけませんか?
劇団に入るのは一つの道ですが、それだけではありません。自分で上演する、講座で学ぶ、公募に出すなど、いくつかの入口があります。
演劇の脚本は何枚くらい書けばいいですか?
上演時間によって変わります。原稿は200字詰めを1枚と数えるペラで量ることが多いので、書いた枚数と読んだ時間を記録して、自分なりの目安を作ってみてください。
舞台の脚本家は演出もするのですか?
兼ねる人もいれば、脚本だけを書く人もいます。小さな劇団では、主宰者が脚本と演出を兼ねている例が多くあります。
舞台の脚本家に資格は必要ですか?
脚本家になるための必須の資格はありません。書いた台本や上演した作品が、実力を示す材料になります。
まとめ
- 舞台の脚本家は、演劇の台本(戯曲)を書く仕事で、劇作家とも呼ばれる
- 舞台は場面転換が難しいので、場所を絞り人物の出入りで物語を動かす
- 関わり方は、劇団の座付き・外部から依頼・自分で上演の3つ
- 演出家と分担したり、脚本と演出を兼ねたりと、形はさまざま
- まずは短い台本を書き上げ、仲間と読み合わせることから始める





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